私達は双子で私は苦労人。【すとぷり】

綺麗なものに似合うのは結局綺麗な人だけ。 ページ10

貴方side

「帰ろー」

「早く！！」

「おめーらどこ行ったー！俺を1人にさせんじゃねー！！」

様々な声が耳に入る。
あの大きな大きな告白が終わってから早1分。
帰りたくても帰れないこの状況をなんとかしてくれ。

「くあぁぁぁ」

雫はなんか、唸ってるし。

「チュロス食べたい」

さとみさんは、閉園間近というのに売店に行き出すし。

「草」

ころんさんは、さっきから「草」と連呼してて正直うざい。

「んあぁぁぁ」

ジェルさんもジェルさんで唸ってるし。

「やっちゃった、言っちゃった…」

莉犬さんはなんか呪文のように唱えてるし。

「…………」

「…………」

ななもりさんとるぅとさんは放心状態。
息をするだけでも苦しい。

『はぁ……』

ため息を漏らす。
どっと、疲れた。
でも、帰らなきゃ行けないんだよなぁ。
明日仕事だし。

『あの、終電近いんで早く行かないと家帰れませんよ』

「あ……うん、そうだね」

今までのあの空気は何だったんだ。とツッコミたくなるほどのスピードで切り替わるななもりさん。
100キロの車も追いつかなそうな速さで皆を正気にする。
何このシュールさは。

「よしっ、行こう！」

『はい、早く行きましょう』

駅まで歩き、何とか電車に滑り込む。

「何あのイケメン集団」

「しかも、女の子も可愛い」

「でも、もう片方の女、ブスじゃね？」

「あ〜分かる〜、もう、私はブスです。って言ってるようなもんだよね」

「何それw」

「かわいそ」

「あんな美男美女に囲まれてある意味目立ってるよね」

「それな」

変わらない。
生まれてきてからずっと、変わらない。
窓の外を見つめる。
街に少しずつ明かりが灯ってきている。

住宅から

会社から

街灯から

ふと、とんとん、と肩を叩かれる。
新手の痴漢か。なんて馬鹿なこと考えちゃったよ。
首だけそちらに向ければ目と鼻の先にはるぅとさんが。

『どうしました』

「いや、これ…」

細長い長方形の箱を差し出された。

プロポーズ？

一瞬そう思ったが直ぐに訂正する。
今改めて自分がどれほど馬鹿だったのかテストできたよ。
結果は、100点中100点だろうね。

「誕生日プレゼントのネックレス。
気に入るかどうかは、わからないですけど…」

嬉しい。

久しぶりにそう思えた。

『あっ、ありがとうございます』

「あと、誕生日おめでとう」

にこっりと微笑むるぅとさん。
嗚呼、こちらまでその笑顔に魅了されてしまう。
怖いったらありゃしない。

鳥になっても自足時給は無理難題。→←醤油か豚骨かって言ったら味噌一択。

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