桃井さつきに成り代わったから、とことん原作を直してやろうと思った。

不穏な様子見 ページ21

ある日の部活中。
皆の体調をルーズリーフに纏めていると。









「この前の黄瀬の奇妙な行動は、この時のためにあったのかい？」









気がつくと、そこに赤司が立っていた。
赤司の目線の先には1on1をしている黄瀬と青峰がいた。
オレは驚きで高鳴る胸を落ち着かせながら、うん、と頷く。









「青峰が練習に来てくれて、ほっとしたよ」


「そう、だね」









そのまま会話もなく、暫くすれば赤司は去る、と思ったのだが。
彼はその場を、動かなかった。









「……赤司君？」


「なんだい？」


「え、いや、何って……何？どうしたの？」


「……いや。君は実に、面白いことをする。そう思ってね」


「はあ…………？」









自分的には、いきなりそんなことを言ってくる赤司が面白いと思うが。
クスリと笑って体育館から出ていった赤司の背を見ながら訝しげに眉を潜めた。









＊









「…………っはぁ」









肺の内の息を全て吐き出した彼は、心臓部分のシャツをぎゅっと握り絞める。
額から汗が垂れ落ち、目の焦点は合っていない。
どこからどう見ても、具合の悪い人だ。









「──……くっ、一体何のつもりだ？」








　









　









　──君もわかっているだろう？


「何をだ。勝手に出てきて、何を言うつもりだった？」


　──彼女は実に面白い。まるで未来が見える、そう言っているようだ。その違和感に、君が気づいていないはずがない。


「……だからって、何を？」


　──そう目くじらを立てるな。なに、少し話してみたかっただけだ。


「今後は一切勝手に出てくるな」


　──約束はできないが善処するよ。









今度は右手で顔の片面を覆い、また溜め息を吐く。
そして彼は顔を上げ、何事もなかったかのように体育館に戻っていった。

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