桃井さつきに成り代わったから、とことん原作を直してやろうと思った。

お願いは命令 ページ2

「黄瀬君」


「なんスか、Aっちー！」









さすが犬だ。
呼んだらすぐに駆け寄ってくる。
「撫でてー！」といった様子の黄瀬をスルーし、早くも本題を持ち込む。









「黄瀬君。お願いがあるの」


「Aっちからお願い!?じゃんじゃん言って！」


「大ちゃんのバスケスタイルを、模写(コピー)をしてほしい」









それを言った瞬間、先程とは打って変わって静かな空気が流れた。
ポカンとしている黄瀬を他所に、オレは話を続ける。









「大ちゃんはもうすぐ、きっと壊れちゃう。だから、“お願い”」









この“お願い”は、きっと命令。
黄瀬なら、絶対に聞いてくれる。
だって普段、オレが彼を頼ることはないのだから。









「……」


「ダメ、かな」


「……ううん、やるっス」


「ほんと!?ありがとう!!」


「Aっち」


「うん？」


「Aっち……」









あれ、なんか様子がおかしい。
俯く黄瀬の名を呼んでみるが、返ってくるのは「Aっち」、オレの名前だけ。









「あの、さ……」

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