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ページ38

「じゃ誘拐は、あったとしよう。」


和臣はカッコをつけながら、バス停の前の石垣に寄りかかる。





「加藤行利は、警察に言ったのかな。」


「言ってないね。」

貴和が言った。



「もし言ってれば、あの家に警官のひとりやふたりはいる。

犯人からの接触をキャッチするためにね。」




でも誰もいなかったし、電話の屋外保安器も

特別な装置は取り付けられてなかったから、

警察はまだかかわってないんだ。



と、続ける貴和。






それを聞いてアーヤがあわてて言った。



「じゃ、すぐに届けたほうがいいと思うわ。

そうして一日も早く犯人を探してもらうのよ!」






アーヤはやっぱ、そういうよねえ。



和臣はアーヤの言葉を聞いて、片目を細めた。




警察に届けることが、

ものすごくもったいないと言っているようだった。






「とにかく早く、警察に届けましょ。」



和臣はその言葉に、微妙な角度に首を曲げながらみんなの様子をうかがう。








「オレはやだね。」


最初にそう言ったのは、意外にも和典だった。




「警察の態度が気にいらね。

あいつらと一緒に仕事なんかしたくない。


もうどうしても警察に言うってなら、オレはここでおりる。」







和臣が、飛びつくようにして和典の肩を抱き寄せながら、力強く言った。




「よし、オレたちで解決しよう!

そして、警察にオレたちの力を見せてやるんだ。」





瞬間、アーヤが声を荒げる。


「若武、ひきょうよ。自分のことだけ考えて!

その間に誘拐されたこどもに何かあったら、どうするのよ!?」





和臣は、舌をペロッと出した。



「おあいにくさま。警察なんか、

いまだに誘拐のことなんかなにも知らないじゃないか。

オレたちの方がずっと先行してる。このままいけるさ。

な、上杉!」




和臣は、和典の肩にかけた手に、力をこめる。




「絶対、犯人あげような!」



「絶対、反対。」


アーヤが強く言うと、和臣はムッとしたように横を向く。


「黒木、おまえは?」




貴和は、少し息をついて、よりかかっていた石垣から

体を起こして、組んでいた腕をといた。

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フェアリー - すみません。ページ7の11行目のとこ、「ためすぎだろ」じゃなくて「だめすぎだろ」じゃないですか?間違ってたらすみませんm(_ _)m (2021年12月25日 19時) (レス) @page7 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
- よかったです! (2020年1月5日 7時) (レス) id: d5e1d3b75f (このIDを非表示/違反報告)
まーお。(プロフ) - 星さん» ありがとうございます!合ってます!即直してきました! (2020年1月5日 4時) (レス) id: dbfd11264f (このIDを非表示/違反報告)
- 私が間違ってたらすみません! (2020年1月4日 19時) (レス) id: d5e1d3b75f (このIDを非表示/違反報告)
- こんにちは!えーっと、誤字を見つけました。ページ25の若武君の「上杉は、…」で、『かかわっら』と書いてあるところがあります。『関わった』ではないでしょうか? (2020年1月4日 19時) (レス) id: d5e1d3b75f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まーお。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/9649c0265d1/  
作成日時:2018年5月15日 15時

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