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M Side ページ30

息をのんで顔を見合わせるわたしたちの中で、和臣がまっ先に叫んだ。






「やっぱり犯人は、強盗だったんじゃないか!今はちがう。はっきりとした事実になったんだ。」




抑えるように言いながら、チラッと貴和を見る。






「どうする?」







和彦が、わきから口をはさんだ。




「決まってる。警察に届けるんだ。」






アーヤもうなずく。






とたんに、和臣が、くせのない髪をサラッとゆすって、強く首を横にふったのだった。






「ダメだ。このレコーダーを証拠に使って犯人をおどし、チャリを弁償させるんだ。」







アーヤが、ムカムカした様子で言った。







「ちょっと若武。こいつらは5月1日に、駅のむこうのセブンイレブンを襲うのよ?それを防がなくちゃならないってときに、なんで自分のことばっかり言ってるわけ!?」









「そうだ。」






めずらしく和彦も、強気だった。







「事件は、オレたちだけでなんとかするには大きくなりすぎてるよ。警察に届けたほうがいい。そしたら、表彰されるかもしれないしさ。」








一瞬、和臣は、口をつぐんだ。








警察に表彰されたら新聞やテレビに出られるかもしれないと考えて、その名誉と、自転車を弁償させる実益との間で、悩んでいるにちがいない。







アーヤが、和臣をにらむ。





わたしも笑








えーい、自分のことしか考えないヤツめ。








「黒木、そうすんだ?」






和典はさっきの質問をくり返すと、貴和は、片腕でほおづえをつきながら、ななめにわたしたちを見た。






「犯人をおどしてチャリを弁償させることも、警察に届けて表彰されることも、両方無理だな。」








その言葉に、アーヤも和彦も、もちろん和臣も、びっくりして叫んだ。







「どうしてっ!?」








貴和にかわって和典が、ちょっと鼻をならして答えた。





「この間も言ったけど、オレたちが、オレたちより年の大きい人間をおどすのは、危険だ。ましてむこうは、すでに強盗を経験済みの犯罪者だからな。追いつめると、なにをするかわからない。

かといって、警察に届けたら、オレたちが他人の電話を盗聴したのがバレる。」








あ、そうか!


というような顔になる3人。







それで続きをわたしが言う。








「電話の盗聴は、有線電気通信違反なの。いくらその結果、犯罪が未然に防げたとしても、罪は罪でしょ。」

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- 最高!!貴女もうプロです!頑張ってくださいね (2020年9月5日 20時) (レス) id: b8bed17887 (このIDを非表示/違反報告)
真穂(プロフ) - 彩さん» ありがとうございました!次の作品ができたらまた来てください(о´∀`о) (2017年10月15日 21時) (レス) id: df25a52e6d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とても面白かったです!KZの他の作品Ver.も見てみたいです!! (2017年10月14日 19時) (レス) id: a14dd51e33 (このIDを非表示/違反報告)
真穂(プロフ) - さやさん» ありがとうございます!元気になりました(・v・)更新頑張りまっす (2017年8月30日 11時) (レス) id: 9b7d9926ac (このIDを非表示/違反報告)
さや - すっごく面白かったです! 更新頑張って下さい! (2017年8月29日 10時) (レス) id: bee0768345 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まーお。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/9649c0265d1/  
作成日時:2016年11月10日 11時

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