消えた自転車は知っている＊2＊ (ページ12)

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現場検証、終了！・天才マネージャーＳｉｄｅページ12

「じゃ、現場検証は、これで終わりだ。」

ハデな言葉でいいながら、和臣は私たちを見まわした。

「次は、捜査会議だ。特別クラスを使おう。行くぞ。」

先に立ってさっそうと身をひるがえした和臣の後ろに、和彦が続き、貴和が続いた。

それに続いたわたしの後で、立花が和典にこっそり言っているのが聞こえた。

「若武にやられたよね。」

「あいつは、あそり屋だ。おどし、おだて、そそのかし、ホロリとさせ、最後にはくどき落とす。公式を使って算数の文章を解いていくときみたいに、相手の態度を溶かしていくんだ。手口は、わかってる。ははん、また来たぞって思うんだ。はじめはね。だけど、そのうちについカッとしたり、ムッとしたりして、気がついたときにはすっかりその気にさせられちまってるってわけさ。」
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そう言って和典は、こっちを見て続けた。

「それって、人の心を読んで計算していないとできないことだろ。オレ、はじめのころはくやしかったけれど、今じゃそうできる若武にすごく興味があるよ。どうやってあいつがみんなを引っかけていくのか。その秘密を知りたいと思ってる。もっとも、あいつのことだから計算なんてもんじゃなくて、感覚なんだろうけどさ。」

立花は、まじめな顔で言った。

「きっと魔法なのよ。」

和典は笑った。

「ああ、ピッタリかもしれない。理不尽でいい言葉だ。」

立花は、うなずいたけど何かを考えているようだった。

もしかして、理不尽って言葉が、わからなかったのかな？

そんな二人に向かって、わたしと和臣は言った。

「早く、おいでよー！」

「閉めちまうぜ。」
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