運命の人なんかじゃない。[TH] (ページ31)

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JK「嫌な予感してきたら的中だったね」

ジョングクが練習の動画を撮るためにカメラをセッティングしなが横にいる私にそう言った。

まぁ確かに、あの距離の近さはあまり良くなかったとは思うけど。そんな嫌な予感レベルではない気がする。

「ていうか本当にいきなりでびっくりした。来る前に連絡くれればよかったのに」

JK「まぁA驚かせたかったから」

よし、と調節し終えたのかジョングクが満足げに両手を払ったのと同時に演劇コースの先輩が近づいてきた。

「Aさん、本当に貸してくれてありがとう。予選前だから助かったよ」

「予選？もしかして芸術祭の」

「そう。俺らのコースは最初何チームかに分かれてそれぞれがしたい劇のいくつかのシーンをビデオに撮ってそれを予選の審査員達に送る。で、選ばれたチームの劇を芸術祭の本番でするんだよ」

JK「へぇ、じゃあもし選ばれたらテヒョニヒョンが主演ですか。すごいなー」

確かに、芸術祭の舞台の主演は凄いっていうのは聞いたことある。なんでも芸術祭の後は大手の事務所からスカウトがたくさん来るとか。

じゃあ将来俳優になるのか。すごいな、テヒョン。

ちらりとジャージに着替えて台本を読んでるテヒョンを見る。お互い将来の話とかしたことないけど、もし俳優を目指してるのだとしたら、今回の予選は結構大事だ。

「あの、これからもここの練習室使っていいです」

「え？」

「テヒョンが鍵持ってますし、困ってたらいつでも。たくさん練習するのに使ったほうがこの部屋も冥利に尽きます」

「本当？助かるなぁ。あ、ジョングガもありがとな。今度なんか奢るよ」

JK「もちろんです。1回ヤンコチ5本ですよ」

そう言ったジョングクに先輩は軽く笑うと、はい練習始めるぞーとメンバーたちに声をかけた。

その拍子に振り向いたテヒョンと目が合う。

前髪の隙間から、じっと私をみる澄んだ瞳。

JK「...ここの部屋貸すのは、忘れるため？」

ジョングクの探るような声が出て横から聞こえる。それで思い出すのは、ソクジンオッパのピアノを弾く姿。

JK「それとも、テヒョニヒョンがいるから？」

台本を片手に相手の女の子と向かい合うテヒョン。微笑んで、女の子の肩に手を置く。

何故かそれが、ソクジンオッパの姿と重なった。