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午前中のレッスンを終えて廊下を歩いていると急に風が吹きつけてきた。前の方を見た肌寒いのに窓が全開にされてあって閉めようと手を伸ばした時、視界にテヒョンが見えた。
そういえば練習するだけなら違う棟の部屋借りてもいいんだっけ。珍しい。
私のいる窓のちょうど向かい側の部屋で台本の読み合わせなのか、複数名が冊子を片手に円になって立っている。
シリアスなシーンなのか、全員眉を寄せている。そんな中、テヒョンだけ無表情だ。
TH「最初から最後まで俺は君のものだ。君が望むならなんだってする」
「やめろヒョナ！そいつの話を聞くな！！」
「…もし、誰かを殺してっていっても？」
ヒロインの子が息を殺したようにそう呟く。緊迫したような空気に思わず身を乗り出して聞いてしまう。
テヒョンは一瞬目を閉じてゆっくり上げる。そして、微笑んだ。
TH「うん、殺してあげる」
ゾクリと背筋が凍ったような気がした。振りもしてない、ただの読み合わせ、たった一言。それなのにテヒョンの言葉は妙に真実味があった。
ミヒが王子って言ってたけど…王子よりも王様っぽいな
そんな風に感心しているといきなり台本から顔を上げたテヒョンと視線が合った。さっきの表情が嘘だったみたいに軽く口角を上げて手を上げてくるもんだからつられて手を振ると、演劇コースのメンバーが一斉に振り向いた。
TH「Aー暇ならこっち来たらー？」
「え、誰あの子」
「バレエコースの子だよ、あのパク・ジミンのパートナー」
「あぁオモニが有名なピアニストの」
人からの視線に慣れているとはいえ、ギラギラとしたまるでライバルを見るような視線は正直気分が良くない。
その原因を作ったテヒョンを見たら、のんきに手招きしてくるもんだから苦笑して首を振った。
JM「A〜レッスン再開するって」
「…ん、今行く」
演技してる時と、普段のテヒョン。
あんな切り替え方目の前で見ちゃったら調子狂った気がする。けど同時にこっちも頑張らなくちゃって思う。去り際にちらりとテヒョンを見るとあっちも私を見ていた。
なにあのどうだ見せてやった感ありまくりの表情。…やっぱ調子狂うわ。
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作者名：あいす
| 作成日時：2019年10月4日 1時
