16.事件のお時間 ページ22
まさか有給の日まで太宰さんと顔を合せることとなるとは。
逆さ釣り状態のままの太宰さんは敦くんとテンポのよいやり取りを繰り広げている。
入水自 殺、心中といったような物騒な言葉が耳を憚るが……うん。なんとも太宰さんらしくて呆れを通り越して感嘆の念を抱く。
あの。ところで皆さん。大変仲がよろしいところ恐縮ですが、私の存在をガン無視で会話続行されるおつもりでしょうか?
仕方がないので風景のごとく傍観を極め込もうと、自暴自棄になりながらも観察に以降する。
太宰さんが敦くんに説明を求め、現状を理解してからの取り乱しぷっりはとにかく凄まじかった。
「どうせならこの美しいご婦人と心中したかった」と肩を落として嘆く姿ははっきり言って見ていられないほどで、不謹慎ながら残念な男という刻印が明確に調印されたのである。
「依頼で敦くんと乱歩さんがいるのは理解したが、それで一体全体なぜここにAくんがいるんだい?」
「ええと、実は何の因果か死体の第一発見者となりまして」
ようやく私の存在に触れてくれたとこに安堵しつつも思い起こすだけで心に重りが乗る。
我が家のTheアイドル!猫ちゃんとお出かけしていると川辺に流れ着くご婦人の死体を発見。
軍警に即通報。そのまま帰れる筈が、武装探偵社のお二方に遭遇。なんやかんやで事の始末まで見届ける流れに。
ざっと思い起こすだけで本日は波乱の一日であろう。
まぁ、だがしかし収穫はあった。私がかつて家に連れ込んだ少年、否、中島敦との再会。そして名探偵、江戸川乱歩との出会い。
あの時は述べられなかったが自分は中島敦と言う名で武装探偵社の一員だと少し恥ずかしがりながらも誇らしげに述べる姿には胸を打たれるものがあったし、乱歩さんの繊細なお顔立ちにも胸をときめかせた。
それにしても世間は狭い。縁は縁を呼び紡いでいく。
あの少年が太宰さんの部下であったとは……。
因果というものには必然さが混じっているのかもしれない。
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司(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます!こんなハチャメチャな夢主、需要あるのかな?と不安だったので、そう仰って頂けると嬉しいです!オチはですね……。後々あかしますね。個人的にオチを先にお知らせするというのはどうにもピンとこなくて……個人的な見解で申し訳ないです (2017年7月28日 18時) (レス) id: b086ef1462 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - うわぁぁぁ文才ありすぎません?設定がしっかりしてて読んでて楽しいです!!渡辺ちゃんの謎?も気になりますし…笑笑。あと気になるのはこの小説って誰落ちなんですか?(太宰さんがいいなぁ…←図々しい汗)更新頑張ってください!!! (2017年7月26日 13時) (レス) id: a8e89100ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:司 | 作成日時:2017年7月2日 15時