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『え、ちょっ、何ですか…っ、やめてください!』
「……」
私はなぜか白澤様に一方的に攻撃した鬼灯様に腕を引かれ地獄へ来た。
意味が分からない。
鬼灯様が、どうして?
私は白澤様が好きなのに。
そばにいたいのに。
こんな所へ来たくはないのに。
『鬼灯様、離して、ください、』
「……」
何を言っても足を止めず、体重をかけて止まろうとする私に少しも動じずそのまま歩く。
『私は白澤様の所へ………鬼灯様?』
白澤様という言葉に肩を揺らした鬼灯様は私を掴む腕はそのままで足を止め、こちらを見る。
スッとした瞳は真っ直ぐに。
「あの人が、何です?」
『わたし、は…白澤様の所に……』
行きたくて…
そこで言葉を止めて、口を閉じる。
…………本当に?
本当に、私は白澤様の所へ、行きたい?
………何か、もっとこう…、
違う何かがあるような…気もする…
「あの人の所に行きたいんですか?」
『……、』
私と向き合うように立つ鬼灯様は、
いつもと変わらぬ無表情で私を見下ろす。
風が吹き抜けて、鬼灯様の香りが鼻腔を擽る。
『行きた……い……』
何だか引っかかるんだ。
あの人が目の前にいた時は、好きが溢れてきたのに。
今鬼灯様を目の前にして、気持ちが揺れるような感じ。
「……そうですか?それじゃあ私は?私といてはくれないんですか?嫌ですか?」
揺れる、揺れる。
私は、白澤様が、好きで。
今すぐにでも力が緩んだこの手を振り解いて今来た道を引き返したいはずなのに。
『……っ、』
「…どうですか?」
そう聞いて、若干眉を寄せて私を見つめる鬼灯様に何だか少しずつ心臓がうるさくなる気がする。
『……ほ、』
「……」
『……ほおず、き、さま、』
「はい」
『……』
「……」
『わ、たし………』
「はい、」
『……』
「……」
『………鬼灯様、一筋です』
私の腕を掴んでいる大きな手を私の両手が絡みとって、ギュッと握ってそう言えば。
鬼灯様は、「よく出来ました」とフッと瞳を緩め私の頭を優しく撫でた。
薬の効き目は約30分程らしい。
そしてもちろんこの薬は鬼灯様により全て廃棄になった。
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みぃーこ - 凄く、よかったです!鬼灯が裏では夢ちゃんの事愛してた、、!ヤンデレ出たらもう最高、、(性癖ですごめんなさい、、 (11月9日 16時) (レス) @page27 id: d99dd44019 (このIDを非表示/違反報告)
マジ - マジでとっってもキュンキュンです! (9月27日 22時) (レス) @page27 id: 2ded5cc478 (このIDを非表示/違反報告)
夕 - とても面白かったです‼️ (8月9日 2時) (レス) @page27 id: 2cd608cf26 (このIDを非表示/違反報告)
tenp_555(プロフ) - 心臓が危ない……書いてくれてありがとうございます! (7月16日 10時) (レス) id: 8d249629d3 (このIDを非表示/違反報告)
Nami - 夢主が薬で白澤さん好きになって鬼灯さんを威嚇したとき、鬼灯さん内心焦ってたりとかしてたりして…?☺️ (7月9日 19時) (レス) id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2020年11月6日 21時