浦島坂田船のシェアハウス。 (ページ15)

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5.坂田：飲み会ページ15

ー坂田sideー

坂「おつかれっしたー・・・」

上「お、坂田！今、上がり？」

坂「そうっすけど・・・」

仕事も一段落した金曜の１８：００。

この居たくもないオフィスからやっと出られるって時に、

今年から来た僕の一番苦手な先輩に呼び止められた。

上「これから、飲みいこーぜ！」

坂「あー・・・いいっすけど・・・」

上「よっしゃ！ほら行くぞ行くぞ！」

断ればどうなるかは分かる。

相手は上司だ。ここは大人しくついていこう・・・

半ば強引に連れて来られたのは駅から大分離れた居酒屋。

これじゃ、終電で帰らなきゃいけないな・・・

上「ここ、俺の好きなとこなんだよ！」

坂「そうなんすか？

　あの、ちょっと、家族に電話するんで・・・」

上「えぇ～？家族いんのかよ～」

坂「いえいえ、男４人でシェアハウスしてんすよ。」

上「そーなの！？夢がねえにもほどがあんな。」

こういう所がめんどくさい、とはさすがに言えない。

僕は店の外で自宅に着信を入れる。

この時間ならみんないるかな？

坂「あ、もしもし？」

志「さかたん？どないしたん、こんな時間に。」

坂「まーしぃ？みんなおるん？」

志「いや、うらさんがまだ。てか、なんかあったん？」

坂「飲みに誘われて、遅れそうなんよ。」

志「おっけ、分かった。んじゃーねー。」

電話が切れたのを確認して、スマホの電源を落とす。

店内に入れば先輩が粗方注文は終えていた。

上「ほら、飲めー！」

坂「どーもっす・・・」

先輩に突き付けられたビールジョッキ。

ジョッキから溢れんばかりのビールを受け取り、

少しだけ、少しだけ口に運ぶ。

上「ったく、面白くねぇなー！」

先輩は僕の持っていたジョッキの底部分を持ち上げた。

もちろん、ビールは止めどなく僕の口に流れてくるわけで、

さすがに零すわけにはいかないと思い、すべて飲んだ。

坂「うぅ～・・・せんぱぃ、かえりませんか・・・？」

もうすでに僕らは出来上がっていた。

僕はお酒に強いわけではない、いや、弱いので

酔っているというかただただ気持ち悪かった。

上「やっべー！財布忘れたー！」

坂「わかりました・・・」

一万円札を会計に通し、わずかなお釣りを手に

居酒屋を出た。

すでに先輩はタクシーで帰ったようだった。

坂「お金・・・あるやん・・・っくそが・・・」

僕は駅に向かって歩いた。

とっくに終電は終わったってのに。