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──────俺もさ、記憶っていうのがあるんだよ！
善逸くんの言葉にデジャヴを受けた。
私の知り合いみんな、こんな感じなんだろうか。
…でも私には、前世の記憶なんてない。
｢信じて貰えないかもしれないけど、俺前世では鬼狩りってのをやっててさ。｣
おにがり。聞いたことのある響きだ。
でも、このたった4文字に、不安が募る。
｢そのときに聞いた、鬼の音と似てるんだよ。君の音は。｣
────────鬼舞辻無惨っていう鬼と。
鬼…？無惨さん…？どうしてそこでその名前が？
｢おい紋逸！！俺の子分になにしてやがる！｣
脳が停止して、その場に立ち尽くす私と善逸くんの間に、伊之助くんが入ってきた。
ぴんと張った緊張の糸が弛んだ気がする。
と思ったけれど。
｢伊之助くん、｣
｢確かにこいつは変な感覚にさせてくることもあるけどよ、鋭いもんは感じねえだろ！｣
そう額を人差し指でぐいっと押された。
地味に痛いのでやめて欲しい。
｢それに第一、琴枝は記憶持ちじゃねえ。｣
静かに私を見据える善逸くんと、眉根を寄せ私に背を向ける伊之助くん。
そんなに、深刻な問題なのだろうか。
無惨さんと、私の関わりが。
｢伊之助くんが言ったように、私には前世の記憶なんてないけど、無惨さんとは知り合いだよ。だから善逸くんは音が似てるって思ったんじゃないかな。｣
しばしの沈黙。
｢ええええ？！ちょ、琴枝ちゃんなんて？！｣
キーンと鼓膜にダメージを与えるボリュームで善逸くんは重い空気をぶち壊した。
｢えっと、無惨さんとは知り合いだよって。｣
(あいつも生まれ変わったのかよ…！)
よく分からないけれど、2人の表情にそんな思いが滲み出ていた。
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作者名：白桃。 | 作成日時：2020年1月31日 22時
