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ぷるる。電話のコール音。
無惨さんとは、あの夜以降連絡をとるようになった。
何度かやり取りがあった後なんと、お出かけに誘われてしまった。
それはデートなのでは、と思ってしまうが、空へ舞い上がる心を引きずり下ろして平常心を保つ。
今は待ち合わせの時間だ。
親に話せば意外とすんなり了承を貰えたのでとても良かった。
がやがやとした駅のロータリー前、どこからか電話のコール音が聞こえてくる。
と、それと同時に震える私の携帯。
コール音の在処を探せば、無惨さんがこちらへ歩いてくるのを見つけた。
彼の背が高いおかげで素早く見つけることができた。
無惨さん、そう呼ぼうとしたそのときだった。
「ナンパなんすけど、おねーさん、JK?」
「このあと予定あります?」
何人かの男が声をかけてきた。
「え?」
ここに予定もないのに突っ立ってるわけないでしょう。
うっわあ、ついてないなこの人達。
「こいつは俺の連れだ。他を当たれ。」
「無惨さん!待ってましたよ!」
無惨さんの前でそんなことをするだなんてこの男の人達本当に可哀想。
この人は、眉間に皺が寄りまくってるのと背が高いということ、威圧感を与える項目は揃いに揃っている。
ひえ、だのすんません、だのと残して男達は去っていった。
呆気なかった。
「琴枝はやいな。早く来すぎてもああいう輩がいるから気をつけろ。」
「はい。ありがとうございました!」
ぽん、と頭に手を置かれふと上を見上げると無惨さんと目が合う。
その目がやけに優しくて、甘ったるい気持ちになってしまった。
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作者名:白桃。 | 作成日時:2020年1月31日 22時