稽古 ページ10
壬生寺に移動すると、そこには永倉・原田・藤堂もいた。
無論、先ほど庭にいた者もついてきた。
神霧を腰に下げようとして、三日月があることに気づいた。
三日月は私の命と同じくらい大切なものだ。
誰かに預けるということは、命を預けると一緒だ。
別に持っていてもいいのだが、これは稽古であり、刀身・鞘が長いため相手を怪我させてはかえって迷惑だろう。
土方「その三日月……。俺が預かろう。」
「……信用していいんだな？」
土方「……あぁ。」
私は土方の目を見た。
――こいつはウソをついてない。
そう思った。
私は三日月を躊躇いがちに土方に渡した。
土方「確かに預かった。」
「……あぁ。」
私は神霧を腰に下げた。
驚いた。
三日月とあまり変わらない重さだ。
変わったのは長さくらいだろうか。
太刀になれている私にとって、これからどう調整していくか…か。
向こうにいる沖田を見る。
明らかに、殺意を敵意をむき出しにした感情がにじみでている。
緑色は嫉妬の色と聞くが、こいつは近藤にまとわりつく奴らにでも嫉妬してんのか？
沖田「さぁて、A君。手加減はしないよ。」
「…嗚呼。」
お互い礼を交わし、刀を抜く。
沖田「行くよ！」
その言葉とともに奴は突っ込んできた。
……思っていたより、キレのある動きだ。
沖田「守ってばっかじゃ、そのうち君、死ぬよ？」
「じゃ、逆に殺してあげるよ。」
私は素早い動きで沖田の背後を取るとなぎ払った。
しかし、それは止められてします。
沖田「意外と早いじゃん。」
「まだまだ」
沖田の隙という隙をついて斬っていく。
沖田「！？」
「どうしたの？さっきの言葉、まんま返すよ。」
私は動きばかり気を取られている沖田の足を払った。
沖田「うわ！？」
沖田が情けなくその場に倒れこむ。
容赦なく神霧を突きつけると、沖田が笑った。
沖田「へぇ…やるじゃん。」
「まだやるつもり？」
沖田「へっへへ……。降参。君、早いんだもん。恐らく、斎藤君よりね。」
斎藤「……ほう。」
「もういいですよね。」
私は刀を鞘に収めると寺を出て行った。
沖田「あらら〜？」
？「つ、強い。」
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作者名：衣咲 | 作成日時：2015年10月5日 7時
