庭 ページ9
昼
あの女子が目を覚め、ここに居座ることになったらしい。
どうやら、彼らは彼女の正体に気づいていないようだ。
それはそうだろうな。
人間が気づくはずはない。
私は土方に連れられ、彼女らがいる庭まで歩いて行った。
「どうして私が……。」
土方「これから一緒に過ごす仲間だ。顔だけでも見ておけ。」
「だからって……。私は女が嫌いだってのに。」
土方「そういや、これ。近藤さんからの預かりもんだ。
これからは路地裏などの狭い場所での戦いが増える。
だから、太刀である三日月は役に立たねえ。
こいつは、近藤さんがお前にってよこしたモンだ。」
そう言われ受け取ったものは打刀だった。
「これは……。」
土方「確かぁ、名前は神霧だったけな。
幻の刀と言われてるが、近藤さん…どうしてそんなものを手に入れたのたのやら――。」
「……ありがたく頂戴いたします。」
神霧を抜くと、その美しさは三日月にも劣らないほどだった。
「綺麗。」
そうつぶやいたとき、どこからか刀と刀がぶつかり合う音が聞こえた。
「この音は。」
土方「どうした?」
「――どこからか刀がぶつかり合う音が聞こえます。」
私は土方さんの脇を抜け、音のする方へ向かった。
するとそこには、庭に降り、刀を向けたあの女子と斎藤の姿があった。
「なるほど……。己の力量を確かめるか」
土方「ほぉ。見ものだな。」
結果的にはあっさりと女子の方が負けてしまったが、そこらに居る女子よりは絶対に強い。
土方「市町を巡察するときは必ず組長の指示に従えよ。いいな。」
?「は、はい。」
「ふーん。彼女も一緒に巡察ですか。」
土方「何か異論でも?」
「いえ、滅相もないですよ。土方さん。」
沖田「そうだ。そこにいるの、A君だよね。」
「……そう…だが。」
これは驚きだ。
こいつ、まだ私を男と思っているようだ。
沖田「君もさ、打ち込んでみたら?」
「――私の刃をかわせるのであれば。」
沖田「へー。言うじゃん。土方さん、いいでしょ?」
土方「……そうだな。ならば、もっと広いところでやるといい。
A、お前は神霧で打ち込め。」
「……わかりました。」
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作者名:衣咲 | 作成日時:2015年10月5日 7時