男 ページ4
桃色の着物を来た女子が浪人に絡まれ逃げ回っているのを、一人屋根の上から眺めていた。
「これは結構なことだ……。相手はあの子が女子ってこと気づいてないみたいだね。」
月光に当てられ桜が舞う。
男の長く綺麗な髪は白銀に輝いていた。
「それに……あの子は……。おや?」
男は向こうから浅葱色の羽織を来た二人の男が目に入った。
「浅葱色の羽織……新選組か?いや――あれは羅刹か。」
赤い目が爛々と輝いている。
「……ッチ。胸糞悪いな。」
人に飼われ、人に変われ、哀れな羅刹。
やがて灰になり、彼らは跡形もなく消える。
男は屋根を呼び降りると刀を抜いた。
いきなり上から現れたことに羅刹は一歩身を引く。
「あら?浪士は殺っちゃったの?いけない輩だね。」
そう言って微笑む男は羅刹の急所を狙い、刀を振るう。
「ほら、どうしたの?血がそんなに欲しいのなら、殺してみなよ?」
男は余裕の顔で更に挑発をする。
羅刹は奇声を発し男に近寄るが、呆気なく斬られる。
男は死骸を見下すと、刀を振り血を落とし鞘に収めた。
「……っま、人間よりかはましかな。まだ、羅刹のほうが……。」
男はその先の言葉を飲み込んだ。
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作者名:衣咲 | 作成日時:2015年10月5日 7時