ちー様 ページ16
近藤と共に池田屋に着くと路地裏に隠れた。
どうやら中で密会が行われているようだ。
数十分たった頃。
会津の連中が来ないことに際立った局長は御用改めとして突入した。
その中でAは次々と武士を切り倒していき、
ここに来る前から察していた鬼の気を頼りに二階へと上がっていった。
そこには既に沖田と藤堂がいた。
二人共ギリギリ立っている状態だった。
沖田の傍には千鶴がいた。
「ッチ――。またかよ」
その声にようやく気づいた風間千景はAに目を向けた。
千景「お前は……フン。神狼か。どうしてお前がここにいる。」
「言わなくてもこの姿見ればわかるだろ。」
千景「人間のもとへ寝返ったか。」
「違う。ただ我が定めを果たすためだ。」
千景「定めだと?」
「鬼のお前らにはわかんないだろうな。」
千景「フン。人間に崇められ、祀られ、不老不死の力を手に入れたが……、お前の一族の一部は暴君を繰り返し、人間共に制御されるようになった……。もはや犬と変わらん。」
「お前もだ。昔は私の背にのってあそこへ飛べやら、こっちへ飛べやら言ってた可愛い可愛いチー様が、今は女鬼をつけ回す婚活鬼となるとは。」
千景「なんだと……?」
沖田「お前……こいつと…知り合いなのか?」
千景「黙れ。」
千景は沖田に刀を振るったが、一瞬にして抜刀したAが間に入る。
「少々短気なところも治ってない。」
千景「貴様…ッ」
千景は一歩身を引くと胸元から何かを取り出した。
それを見た瞬間、Aの顔がこわばった。
「それはっ」
千景「音無笛……お前を制御するための音無き笛。」
「残念だが、それは私が神狼の姿になっていなければ効かない。
今の私は人型だ。そう安安と縛られて堪るものか。
――その前に、なぜ貴様がそれを!」
千景「フンッ。どうやって見つけ出したかはお前も想像がつくだろう。
なら、これを――。そこで覗いている者に渡せばどうなる?」
「――。」
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作者名:衣咲 | 作成日時:2015年10月5日 7時