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    羽織 ページ14

屯所の一角の部屋に連れられてきたAは千鶴に羽織を見せられていた。

 
千鶴「白夜さんは背が大きいですし、これなんてどうですか?」


「――あぁ、それでいい。」


千鶴は羽織が入っていた箱を棚に戻すと、羽織をAに渡した。



千鶴「貴方は……、私のことが嫌いですか?」


「――嫌いだ。特に、女はな。」


千鶴「貴方も女の子じゃ……。」


「気持ちわるいんだよ。うじうじと守られるだけの存在なんて。
 特に、あんたみたいに武器を腰に下げておきながら、敵に怯み、助けられる存在はな。」


千鶴「そんな――。でも白夜さんは――」


「私は、ここにいる連中より、多くの人間を殺してきた。
 所詮、罪をおかした哀れな人間だ。どうせ、ほっといても朽ちる。」


千鶴「貴方は人間でしょう?」


「…馬鹿な。私は神狼だ。」


千鶴「しんろう・・?」


「――お前、何も知らねぇんだな。我ら神狼族も忘れるとは。」


千鶴「しんろうってなんですか?」


「……神の狼と書いて神狼だ。私は神様の狼ってことだ。
 おっと……余計なことを言うなよ?土方とかに言ったら……噛み殺すぞ。」



Aは青い目を光らせて言った。


千鶴は迫力に押され頷かない訳にはいかなかった。




「――まぁ、アンタが全てを思い出すのはもう少し先ということか。」




千鶴はAの言っている意味が分からす首をかしげた。

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作者名:衣咲 | 作成日時:2015年10月5日 7時

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