夢みたいな現実。45 ページ45
その後は、昨日のことを埋めるようにして他愛もない話で盛り上がった。
まだ朝なのにも関わらずお酒を飲んで泥酔しちゃってる人も……
私も誘われたが、さすがに未成年は不味いだろうと思い、やんわり断っておいた。
朝食を食べ終わり「昼食後に審神者部屋に来るように」と審神者様から言われたので、暇である。
暇なのである。
「うっわぁ、綺麗な池……」
すっかり気の緩んでしまった私は、少し大きめな池が見える縁側に座ることにした。
そこは朝日に照らされキラキラと輝いていてとても美しかった。
「……おや?」
そんな景色に夢中な私の背後からふと、誰かの声がする。
「こんな所で休んでいらしたんですね」
「あ……太郎太刀さん」
「名を全部呼ばれるには長いでしょう。気軽に呼んでください」
と言い、一人分離れたところに太郎さんが座る。
その手にはなにやらお盆があり、どうやら何処かに持っていく途中だったようだ。
「では、太郎さん……で良いですか?」
「お好きなように」
「……そのお盆、何処かに持っていく途中だったのでは? 邪魔しては悪いですし、私は……」
「良いのです。確かにこれは、石切丸と蛍丸に部屋へ誘われたので持っていく途中でしたが、結局最後はなんだかんだと人が増えていくので」
そう言って取り分けた一つを私に渡してきた。
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます……」
つまりは一つや二つつまみ食いしたところでバレないよってことか、意外にヤンチャな考えだな。いいと思う。
隣に誰かが居て、見られながら食べるのはなかなか緊張するものだ。皆も分からない? ……手が震えて上手く食べれないんだよ。
案の定貰った茶菓子をポロポロと零しながら少しずつ食べていく。
「ふふ、口の横、付いていますよ」
苦戦してる私の横で笑い声が聞こてそちらを見ると、「ここですよ」と自分自身の頬をつつき教えてくれた。
なんともまぁ恥ずかしいこと。しかも、笑う太郎さんにドキッとしてしまったのだ、自分の愚かさにも恥ずかしくなった。
「っすみませ……」
ゾク___
「ッ!!」
恥ずかしさのあまり顔を伏せて茶菓子を取ろうとした瞬間、何かが、私を見た。
殺気ではない。あの精神を抉られるような感じはしなかった。
でも……嫌な感じだ。
驚いて周りを見渡すが何も無い。
誰かが私を見た可能性があるのなら太郎さんだが……彼を見ても、急にどうしたと驚いているだけで特に変わりはない。
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なのは(プロフ) - 甘gumさん» こ、こんな不定期なものでも待っていてくださるなんて…感動です!!謎の視線については後々…ということで、また頑張っていきます!ありがとうございます(*^^*) (2019年11月26日 9時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
甘gum(プロフ) - 更新待ってました!ありがとうございます!主人公を見る謎の視線が何なのか気になりますね…更新お疲れ様です! (2019年11月26日 0時) (レス) id: ac11c5bffc (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 雪さん» うわぁぁ!!涙が止まらないなんて.......ありがとうございます!!これからも長く続けられるよう、推進して参ります! (2019年7月2日 6時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 一気読みさせてもらいました!涙が止まりません(笑)続き楽しみにしてますっ! (2019年7月1日 20時) (レス) id: 83eed38689 (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 狐火さん» 遅れてすみません!一目惚れして頂いて感謝です!まだまだ長くなるかも知れませんが、今後ともこの小説をよろしくお願いします! (2019年2月25日 19時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋月なのは | 作成日時:2017年8月15日 15時