夢みたいな現実。40 ページ40
「わぁぁぁ! 凄い、キレイ…!」
おっと思わず心の声が。
だが、それほど整備されている台所だ。
「え、見習いさん来てくれたんですか?」
「は、はい。燭台切さんに手伝って欲しいと言われまして」
私がここに居るのがとても意外だったのか、お味噌汁をよそいながら驚いた堀川が言った。
……すみませんねぇ、私なんか邪魔でしたよね。
「え、いや! 邪魔とかは思ってなくて!」
え、君なんで私が考えること分かったの怖。エスパーなの怖。
「じゃなくて、昨日の今日で来られるのって、とても勇気のいることじゃないですか。誰かに言われたとしてもこれは凄いことですよ」
なんか、褒められてるのか貶されてるのかよくわからんけどなんかありがと。
「そ、そうですか…? でも、きっかけが無ければ私は今頃まだ離れです。どれ持っていったらいいですか?」
「あ、そこのお盆お願いします。そうですよ、きっかけは貰ったかもしれないですけど、決断したの見習いさんですよね? あ、ちょっと待ってください」
「……このままだと皆さんともっと距離が出来てしまうと思って」
作業と両立しながら私たちは言葉を交える。いつの間にか料理を運んだのか、前田と平野の姿は既にそこにはなかった。
「お待たせしました。あ、自己紹介遅れてすみません、僕、堀川国広です。もう知ってるかもしれないですけど」
「はい、資料を拝見しました。新撰組鬼の副長、土方歳三の脇差ですよね。和泉守さんが相棒というのも読みました」
兼さんと相棒であるとは書かれていなかったが、読んでいれば自然とそうなっていたであろうと思うので特に気にせず口にした。
「……はい、僕は兼さんの相棒で助手なんです! 兼さんはやる時はやるんですけど、大体がおっちょこちょいなので、僕が見てないと」
そう言って少し困ったように笑う。
私と同じくらいの身長の彼の横顔は、見惚れるほどキレイだった。
「さ、配りましょうか」
「っ…は、はい」
私は堀川からサッと目を逸らし、持ってきたものを配る。
その時も何をされる訳ではなく「ありがとう」という言葉が返されるだけだった。
なんだかここまでされると、今朝まで色々意識していた自分がバカみたいに思えてしまう。
それに、何か裏があるのではと思ってしまっている自分がいることが何より、嫌だ。
信じたいのにこれじゃあ意味が無い。やっぱりまだ勇気が足りないのかもしれない。
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なのは(プロフ) - 甘gumさん» こ、こんな不定期なものでも待っていてくださるなんて…感動です!!謎の視線については後々…ということで、また頑張っていきます!ありがとうございます(*^^*) (2019年11月26日 9時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
甘gum(プロフ) - 更新待ってました!ありがとうございます!主人公を見る謎の視線が何なのか気になりますね…更新お疲れ様です! (2019年11月26日 0時) (レス) id: ac11c5bffc (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 雪さん» うわぁぁ!!涙が止まらないなんて.......ありがとうございます!!これからも長く続けられるよう、推進して参ります! (2019年7月2日 6時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 一気読みさせてもらいました!涙が止まりません(笑)続き楽しみにしてますっ! (2019年7月1日 20時) (レス) id: 83eed38689 (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 狐火さん» 遅れてすみません!一目惚れして頂いて感謝です!まだまだ長くなるかも知れませんが、今後ともこの小説をよろしくお願いします! (2019年2月25日 19時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋月なのは | 作成日時:2017年8月15日 15時