Symphony【病系】【短編集】

12_アルメリア［水×桃］ ページ39

入院中の双子の兄(桃)×弟(水)

▶︎闇堕ち系/オチなし

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水side








学校をすぐに出て、自転車に乗り、長い坂を登ったところにある街一番の大きな病院

看護師さんに挨拶しながら、224号室に入るがそこには誰もいなかった


探しに廊下を歩き回ると、中庭に彼の姿を見つけて慌てて方向転換した





「 ここにいたんだ 」

「 おう、 」

「 水やり？w 珍しい 」

「 育てようと思って 」


赤や、ピンク、白の細い茎にボールみたいに丸く花が咲いた少し個性的なその花




「 なんて言う花なの？ 」

「 アルメリア 」

「 へぇ、さとみくんそんな花好きだったんだ 」

「 …いや、嫌い。この花は特に 」

「 はぇ？w じゃあなんで育ててんの？ 」

「 いや、別に？ 」


最近の兄ちゃんはなんだか読めない

何を考えているか分からないような感じ


笑っているけど、その笑顔は本物じゃなくて…

一緒にゲームをしていても、どこか楽しそうじゃない





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花に水をあげ終わった兄ちゃんはベンチに座って空を見上げている



「 病室戻んなくていいの？ 」

「 いいだろ別に。戻ったってやることねーし 」

「 ふーん 」


兄ちゃんの隣に座って、僕も空を眺めてみる

白くて大きな雲がゆっくりと流れていくのをただ無心で見つめていた





「 いたぁ、さとみくん！17時には戻ってって言ったよね？」

「 言われてない 」

「 言ったわよ私！ 」


兄ちゃんを担当している若い看護師さんが息を切らしてやってきた

なにやら、点滴の時間で兄ちゃんを連れ戻しに来たらしい



「 ほら戻って、先生待ってるから 」

「 はいはい 」


兄ちゃんは焦る様子すら見せずゆっくりと立ち上がりとぼとぼと病室に戻る

それに僕もついて行った






.





「 そろそろ帰れば？ 」

「 …ぁ、うん 」


点滴を腕につけた状態で夕食を取る兄ちゃん

まだ日が落ちたばっかなのにもう夕食の時間なんだ




「 あのさ、なんで嫌いな花なんて育ててるの？ 」

「 あぁ、w あれくれた奴にお返ししようと思ってw 」

「 …へぇ、 」


兄ちゃんの言っていることがさっぱり分からなかった

お花を渡すことってプラスなイメージしかないし、それを返すのって ありがとう 的な意味じゃないのかな？


もしかして、退院が近いから病院の先生に今までのお礼で渡そうとしてる…とか？




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