Symphony【病系】【短編集】

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水side








いつも通り兄ちゃんの所にお見舞いに行くと、病室に入る前に兄ちゃんの担当医の先生に話しかけられた


なにやら小さな何とか室に案内されて、席に着く

机を挟んだ向かい側にそのお医者さんが座って僕の顔をじっと見る




「 、ぇ、w なんですか？ 」

「 お兄さんの病気のこと分かってる？ 」

「 、はい？ 」

「 お兄さんね、残念だけどもう治療法ないんだよ」


このおっさんはなんでそんな淡々と話すんだ？

意味がわからない。僕の大切な人の命をなんだと思ってんだ？




「 …それでなんですか、 」

「 付き合い方、考えた方がいいと思う。お兄ちゃん離れとも言おうか… 」


は？今、僕が兄ちゃんの傍から離れる？

わけないだろ馬鹿か


膝の上で握る拳が震える、怖いのか、苛立っているのか…





「 ……、無理です 」


多分、両方なんだろうな

ポツポツと涙が溢れはじめる




「 兄ちゃんは…、兄ちゃんは僕を必要じゃないかもしれないけど…！ 」


「 だけど…、だけど、！僕にとって大事な兄ちゃんなんですから！ 大好きな…兄ちゃんなんですから！ 」





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こんな涙でぐしゃぐしゃな僕にも一切顔色を変えない仏像のような顔の担当医



「 ……、そう 」

「 はい、 」


部屋を出て、こんな顔では兄ちゃんの病室には行けないなと中庭に向かう

兄ちゃんに心配かけちゃダメだから。泣いた跡なんて絶対すぐにバレるから







＿







「 お前は、なんで兄ちゃんに嫌われてるの？ 」


兄ちゃんが水を上げていた花

その花壇の元にしゃがんで話しかける




「 、ふっ…アルメリア……、 」


よしっ、と立ち上がり青い空を見上げて兄ちゃんの病室へと向かった





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