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私はなんでも完璧にできる不知火幻音の妹。
完璧な姉とは違い、何をやっても平凡。
学校ではそれが原因でいじめられることもあった。
辛くて仕方なかった。
毎日泣いた。
姉は優しかった。
周りがなんと言おうが、私の味方でいてくれた。
私はそれが嬉しかった。
だけどそう思う反面、そんな姉が嫌いだった。
姉はなんでも完璧にできてしまう自分を嫌っていた。
そして両親も学校の先生や友人のことも嫌っていた。
姉は完璧という言葉が嫌いだった。
完璧だと言われることが嫌いだった。
ある日、姉と口論になった。
原因は学校から下校している途中、突然姉が私に死にたいと言ってきたからだ。
私は姉のことが嫌いだったけど好きだった。
こんな出来損ないの私にも優しくしてくれる。
どんなにひどい言葉をかけようが、姉はいつも笑っていた。
潮江君には私が突き飛ばしてトラックに引かれただなんて言ったけれど、あんなのは嘘で、姉は自分からトラックが向かってきている道路に飛び込んでいったのだ。
私は自分のことばかりで、姉のことなんて考えたことがなかった。姉は私のことを一番に考えてくれていたというのに。
私は最低だ。
もし姉の話を、悩みを聞いてあげていたら、姉は死にたいなんて思うこともなかったかもしれない。
私のせいだ。
私が姉を殺したと同然。
私は死にたかった。
だって私は人殺しなんだから。
生きている価値なんてない。
この世界は残酷だ。
私はこんな世界望んでいない。
私が見たかった未来はこんなものではない。
そして私は命を絶った。
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作者名:ずみ | 作成日時:2019年11月2日 17時