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「えっと、三反田君は何年生なの?」
「三年です!不知火さんはもう他の三年生に会いましたか?」
「ううん。三年生は三反田君が初めて。」
「そうなんですか・・・。他の三年生はみんな個性的で、影が薄い僕はよくわすれられるので、不知火さんに初めて会った三年が僕で良かったです。みんなの後じゃ、余計覚えてもらえない気がするので・・・。」
「ははっ、面白いこと言うんだね。いくら影が薄いからってわすれることはないよ。保健委員会の三年生、三反田数馬君。ほら、ちゃんと覚えてるでしょ?」
「はっ、はい!初めて、自己紹介してすぐ覚えてもらえた気がします!」
「そ、そうなんだ・・・。」
そこまで影が薄いようには見えないんだけどな……。
「不知火さんは事務のお仕事、嫌じゃないんですか?前の天女様はしょっちゅうサボっていましたけど。特にこういった草むしりや掃除などは・・・。」
「ん〜、好きか嫌いかって聞かれたらもちろん嫌いだよ。草むしりも掃除も面倒だし。三反田君も嫌でしょ?」
「確かに嫌です。」
「だよね。でも任されたことはやらないと。」
「不知火さんは偉いですね。」
「そう?私の手伝いを進んでやってくれる三反田君の方が、私は余っ程偉いと思うけど?」
「そ、そうですか?」
「うん。三反田君が手伝ってくれてるから、夕方までには終わりそうだよ。」
「本当ですか!?僕、頑張りますっ!!」
「ふふっ、ありがと。」
それから私と三反田君は夕日が沈むまで草をむしり続けた。
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作者名:ずみ | 作成日時:2019年11月2日 17時