ジョジョ５部短編集 (ページ5)

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身支度は二時間半　【プロシュート】ページ5

※死ネタ注意

｢あ、兄貴～！まだですかい？
ターゲットが移動しちまいますよ～｣

｢おいジジィ！
洗面所占領してんじゃねぇぞ！クソが！｣

｢プロシュートーまだ終わんない？
俺もアイロン使いたいんだけどー｣

プロシュートが任務に行く時は、
いつも二時間半も時間をかけて身支度をする。
その度にアジトは大騒ぎだ。

プロシュートを急かすペッシ、
洗面所が使えずに怒り、喚くギアッチョ、
不具合に不満をもらすメローネ、
そしてそんな状況から逃れるように鏡に逃げ込むイルーゾォ、
それと……知らん顔のソルベにジェラート。

この騒ぎは、プロシュートとペッシが出ていったあと、ホルマジオの

｢しょうがねぇなぁ｣

という言葉で幕をとじる。
……いつものお約束である。

長年、俺とプロシュートは一緒にいたが、
あれは昔からの彼の癖のようなものだ。
ルーティンみたいな。

…まぁ、メンバーが増えてからというもの、
あの二時間半はやかましいものになったが…。
それでも彼はやめなかった。

――――――――無論、あの日もそうであった。

連絡が途切れ、彼は身支度をはじめた。

スーツにアイロンをかけ、
髪を整え、
靴をみがき、
暗殺道具のメンテナンスを行う。

ペッシはプロシュートを急かさなかった。
ギアッチョは洗面所が使えなくても怒らなかった。
メローネは不満を言わなかった。
鏡に人影はみえず、
知らん顔をする人はいなかった。

　
　｢いってくる｣

二時間半きっかりたって、
プロシュートは呟くように言った。
あぁ、と俺は小さく返事をする。

プロシュートとペッシが出ていった。
…誰も、しょうがねぇなぁ、とは言わなかった。

………いや、今日は
言う必要はなかったかもしれないな。

　《身支度は二時間半》

(もう二度と、)
(あの二時間半は返ってこなかった)

お題元妃更様