◎ ページ29
「お悔やみを申し上げます」
という言葉を何度聞いただろう。
なんだろう…すごく安っぽく聞こえて…
Aが生きた人生を一言で終わらせる事がまず、間違ってると思う。
・
3度目はくも膜下出血で、目を再び開けることはなかった。
俺は、もう何度も見ているような気がする、Aの死に化粧姿。
何度見ても眠っていても綺麗だと思う。
惚れた弱みかもしれないけど、
もう目を覚まさないかもしれないってのに、
大好きだった顔に、綺麗だと思ってしまう。
・
そして、俺は悲しいかな、現実を知る。
Aがいなくなったという、手続き書類に。
主を無くした私物に。
Aの好きだった百合の花に。
信じたくなくて、信じれなくて、
何度も何度も、給湯器のディスプレイを操作しながら
過去へと戻る。
どうせ戻ったって、
色んな方法でAを失ってしまう。
そのたびに疲弊していく身体に、精神に、
もう嘘や気休めの冗談がまかり通らなくなってきた。
事故死、病死、事件死…色々な形で呼吸をやめてしまうAの体を酷使しているような気がして、気を病んでしまう。
何度も何度も、着る喪服も嫌になって、
何十回目かのタイムスリップでは、葬式に出ずにずっとベッドの上で泣きつかれて寝ていた。
・
いっそ、出会わなければAを失わずに済むのか？
俺と出会って恋に落ちてしまうことで、Aを失う運命なら、
もういっそのこと、出会わなければいい気がして。
ディスプレイの日付を出会った日付に戻して、
何かと好意を見せてくるAを露骨に避けた。
どれが正しい形なんだろう。
だって、好きだったから付き合っていたわけだ。
交際していた事実に背くようなことをしているんだ。
辛くないわけがない。
Aの顔を見るたびに、溢れ出しそうな愛しさに必死に目を瞑って
好意を否定するかのように、避けた。
春夏秋冬、季節が巡って、風景が変わり果てて真新しくなっても、
交際記念日を超えても、
プロポーズした日付を超えても、
デートで来た喫茶店や、同棲しようと引っ越したマンションに
俺とAの姿が溶け込むことなく、
ただの職場仲間の、二人の距離はどんどん開いていった。
A「櫻井さん、最後に呑みに付き合ってくださいよ〜」
来月、海外転勤になるというAは、
引き継ぎの仕事で忙しそうだ。
残業して二人っきりで残ったオフィス。
バソコンのディスプレイの日付はAを失った日付だ。
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〇パ→セント(プロフ) - ともさん» とも様♡続編へと参りますのでぜひご覧ください😭二人を幸せにしてみせます♥！！！ (2022年2月16日 1時) (
レス) id: 7d09c06b1c (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - え、えー💦「だった」って過去形？😭 (2022年2月16日 0時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卵かけご飯(現0パ→セント) | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/eggandrice1/
作成日時：2016年12月27日 23時
