7話 ページ10
A用に仕立てられた、ポンチョのような海軍マントを着て扉へ向かおうとした時、部屋にいたセンゴクに声をかけられた。
「A、どこへ行く?」
「ちょっと気になる噂があって
パトロール!」
センゴクはAのこれまでの成績を思い出したのか、感心だとだけ言って送り出した。
ーーー…
『そういや聞いたか?海軍に海賊の子がいるって』
『ああ、聞いたよ、ホントかどうかは知らんけどよ、いたらいたで大騒ぎだな!海軍も馬鹿だぜ!!』
『わたしが子供だからなめてるの?
あたしの前でお喋りなんて、何気ィ抜いてんだ』
ーー…
扉を開けて廊下を早足で進む。
「流石にあれは言葉遣いが悪かったかな?
せっかくセンさん達がたまには自分の口調変えてまでわたしの口調に気をつけてくれたのに。」
その様子を思い出してAは思わず吹き出した。
ーーーパトロールという名の…ただの自己満足であった。
彼女も、我ながらよく懲りないなと思うのはしょっちゅうのこと
…ダメでないという言葉が欲しかったのだ。
Aは嫌だった
陰口を目の前で言われることも、鋭い視線が送られ、時に酷い扱いを受けることも
…その視線に含まれる感情の名前がはっきり分かってしまうことも、嫌だった。
いや、と彼女は首を振った。
やめよう、仲良くしてくれる人もいるのだから…と。
しかし
…彼女の中身も見ずに素性で判断するものは少なくない
特に、関わって日の浅い新兵にはそれが多く見られた。
何もしていないのにいつもどこかで、誰かに恨みを持たれる。
馬鹿にされぬよう、力を見せても…また次の新兵達から何か思われるのだ。
パトロール…ー
目星をつけた賞金首に、ただの子供として近づく
…捕まえる前に、彼女は聞く
「ロジャーの子供が海軍になったらどう思う?」
…どんな返事であろうと捕まえるが。
ーー
ぼんやり今日のルートを確認しながら歩いていると
誰かとぶつかってしまった。
「!ご、ごめんなさい」
「いや、ん?Aじゃないか」
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作者名:ひはる x他1人 | 作成日時:2017年7月28日 18時