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34話 ページ37

Aはゆっくりと目を開け、窓から差し込む光に瞬きした。


急な光に目が霞み、しばらくハッキリとものを見れなかった。


見えるようになって初めてその目に映したものは


自分のベッドに頭を乗せる、2人の仮の部下だった。


「………なん………


!いたっ…」




いきなり新兵たちは目を開いた。

そんな二人にAは驚く。


「「お嬢!!」」
「?!おじょ…

…っ」


まだ塞ぎきっていない両の脇腹を繋ぐ大傷


貧血で痛む頭を抑えながら二人をこし下ろさせた。



「…頭に響く…、座って」


ささっと椅子に落ち着く2人


その様子に首を傾げる。


「何、二人そろって…この間とは全く違う様子だけど」



肩を揺らして二人はAを恐る恐る見上げる。



美しく、青白く、消えてしまいそうな


先日よりもずっとしおらしいAの姿に、二人は床に頭をねじ込んだ


「!?…?ちょっと?!え」


「俺達を!あんたの!お嬢の部下にしてくれ!!」

「貴女の側で!私達は貴女と共に戦いたい!!」



「「もう貴女の背中で立ち尽くすのは嫌だ!!」」





あまりにも真っ直ぐな二人の言葉と心は


他人への不信感を拭いきれないAの心にも届いた。


「(何故わたしなんかを


海賊の娘だと知ってるくせに。






もし、これが本心だとして…

この二人を逃して、これ以上の部下に…仲間にわたしは出会えるのか




…)」



今いる場所が本部の自分の部屋だと気づいたAは、ベッド脇の机の引き出しからあるものを取り出した。




それぞれ一つづつ手渡されたのは、きらきらと光るブレスレット。



二人は不思議そうにそのブレスレットを眺めた。

「綺麗だ…。これは、何でしょう?」




ーーーーーーーー…


「それは、信頼の証だとお嬢がくれたものだった。

肌身離さず付けている、今もな。」


二人が袖をまくってみせると、その綺麗なブレスレットは輝いている。


話を聞いていた兵士達は唖然としていた。


「あの時少佐ピンピンしてたから、いつも通り無傷での帰還だとばっかり」

「…そりゃあ、目の前で見たらお前ら惚れちまうな」

「…すまなかった。」


そう言うと彼らはそそくさと持ち場に戻って言った


一方で2人はブレスレットを撫で、自分たちの胸中にだけ秘めている

もう一つの出来事を思い出していた。

ーーーーーーー

「綺麗だ…これは何でしょう?」





「わたしはシーグラス…だと思う、海を漂って渡り着いたガラスの破片だよ」

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作者名:ひはる x他1人 | 作成日時:2017年7月28日 18時

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