33話 ページ36
輸血はどこだ！
早くこっちへ！
船内は焦りに満ちていた。
Aの緊急手術に誰もが驚き、恐怖した
自分たちが思うより彼らは彼女を認めていたのだ。
今治療室に入れないセンゴクを含めた海兵達は、甲板でマシューとギルバートに事情聴取していた
彼らは忠実に、一つ残らず話した。
衝動に駆られ二人を殴ろうとするセンゴクを止めることはとても困難だった。
｢Aを守るためにつけさせようとした部下が！何故守られている！！
あいつが死んだら私はお前らを許せない！！
覚悟しておけ！！！｣
…二人は顔をしわくちゃにして涙を流しながら
センゴクの前に土下座した。
｢お願いします…！！俺達を！あの人の…リラル・D・アン・A少佐の
部下にしてください！！！｣
息を荒くしながらも落ち着いたセンゴクは
二人をじっと見下ろした
二人は尚も、絞り出すように懇願する
｢俺達には…あの人しか！あの人に出会ってしまったら！｣
｢あの人しか上司として受け入れられねえ！！｣
…
…
｢…なら願え。
あいつが目を覚まして…お前らを…受け入れることを
最終的に決めるのはあいつだ。｣
二人はもっと強く、頭を床にねじ込んだ。
ーーーーーーーーー
穏やかな寝息に見舞った人は安堵する。
何時間に及ぶ手術を終え静かに眠るAの横で
センゴクとマシュー、ギルバートは医師から話を聞いていた。
｢まさに奇跡だった…本当なら助からない
でも彼女は…生きる力が溢れてくるのが、目に見えるようだったよ
…成功だ。｣
三人は息をついた。
センゴクはAの眠るベッドに座り、手を握った。
｢ああ…良かった｣
心からそう言うセンゴクに、マシューが恐る恐る質問する。
｢センゴクさん、は、お嬢の何なんすか？｣
｢！純粋に聞いているだけですよ、こんな言い方で申し訳ありません。マシューはあまり教養がなくて｣
センゴクはちらと見ただけですぐにAの方に視線を戻した
｢…ガープが、６年前のある日、前触れもなく突然赤子を引き取ってきた
やつに呼び出された私の前に差し出されたのが、その赤ん坊…Aだ。
…赤ん坊の事など何も知らん私らで世話をしようなんて…今考えても無茶だったな。
こいつが私らのことをどう思っているか、わからんが、少なくとも私らは
…大事な娘で、家族のような存在だと思ってる。｣
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作者名：ひはる x他1人 | 作成日時：2017年7月28日 18時
