31話 ページ34
戦場に降り立てばそこは既に激しい戦闘の真っ只中。
倒れている海兵もちらと目に入る。
二人はそれに目を背け、どこからか聞こえる彼女の声を必死に探した
「マシューー!ギルバート!
北西に向かえ、そこに居る!自分の戦いを!!!」
馬鹿にしていた年下の上司に、今はどこか縋っていた
新兵の中で優れているふたりはすぐに調子を取り戻し、敵を切り倒し殴り倒し
彼女の元へと向かった
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「その後に起こったんだ、俺達が真にあの人を尊敬し…そして、今も後悔する出来事が起こったのは…」
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敵を倒しながら彼女の元へたどり着いた時
二人はまた唖然とした
彼女の周りに、数十という海賊の山が積み上がっていたからだ。
今も彼女は戦闘中で、屈強な男3人を相手取っていた
「つ…えー…噂には聞いてたが…」
「え、え……生で見たのは…初めて…で」
3人のうち2人を倒し終わったAは、仮の部下達が来たことに気づいた
そして…、戦慄する。
「…っ二人共!後ろ!かまえて!!!」
二人が振り向きざま目端に見えたものは
自分たちに向かって大太刀を振りかざそうとする…その海賊団の
船長だった。
…
そして、2人が振り返り切ったその時、目の前にしっかり捉えたものは
いつ来たのか分からない…6歳の少佐が
自分たちに向けられた大太刀を…その小さな身体で
血飛沫を飛ばしながら受けている瞬間だった。
自分たちがお嬢様と嘲笑った
幼く気高い彼女が…
「「っ…っお嬢っ!!!!」」
不意に出た言葉、これは決して、罵倒の言葉ではない
しかし目を見張るのは次の瞬間でもあった
「ぐふ…っ」
血を吐きながらも、彼女は倒れなかったのだ。
二人は、彼女が先程まで戦っていた男を見た
その男の首には刀が刺さっていて、既に倒れていた
「はな…離れてて。マシュー、ギルバート…
こいつで、最後…っ」
「しかし!!あなたの傷じゃ!!」
尚も構えるAの後ろ姿に、二人はもう何も言えなかった。
Aに刃をくい込ませた船長は、醜く歪んだ笑みを浮かべ下劣に笑った。
「まじだったか!幼女が海兵やってるって!
過保護にされてるらしいなぁ
お前をそのままやりゃあ賞金上がっかねえ?!お嬢ちゃん?」
その男は気づかない
静かな龍は…もうすぐ、目を覚ます。
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作者名:ひはる x他1人 | 作成日時:2017年7月28日 18時