25話 ページ28
「!」
小鳥の声とともに勢いよく起き上がる
「…んん
あ、だいぶ痛みが引いてる、治療おわったんだ」
ガーッガーッ
包帯も新しい、今朝変えたばかり?
ガーッガーッ
それにしても日が高い…
かなり寝てたんだ、やっぱり疲れたのかな
ガーッガーッ
青筋が浮く。
「さっきからイビキがうるさい!父さん!!
っもし近くにマキノがいたら泣いちゃうかもしれないんだよ!!」
わたしの大声に驚いたのか、父さんはふくらましていた鼻ちょうちんを割り、目をぱちくりさせ飛び起きた
「おおっもう朝か?!」
「昼!
ねえ、傷はだいぶ治ってきてる。
これを治したら特訓なんだよね?
その、覇気ってやつの」
特訓、と言ったところで父さんはピクっと反応した
「…なあ、A…
「Aちゃん!!目え覚めたかい?
相変わらず可愛いね!さあ朝食だ、ガープさんもおいでな」
…う…そうだな、まず腹ごしらえだ!!!」
ーー
二人並んで山盛りの料理に手をつける
デジャブのような光景が酒場に広がった。
「はあ〜昨日にまして食べるなあ」
「すげえ…もう何皿だよ?!ひいふうみい…」
「Aちゃんはお疲れだったんだよ!村の英雄だ、とことん振る舞うよ!」
治療での消耗もあってか、Aの食欲は爆発的に膨らんでいた。
近年たまにしか輝かない瞳にも、食事の時には少し光を灯す。
しかし今は、未知なる力があると気づき、それを身につけられるという期待が彼女の心を燃やしていた。
…その横で、彼女を思い、彼女の既に整えられた道に迷いを感じている男は肉を頬張っていた。
滅多光を閉ざすことのないその目には陰りがある。
「(Aをこのまま血に濡れさせて良いものか、いいはずはないのだが、しかし
A自身、その道に無意識で進んでしまおうとしている
闘いに対する思いは本気のようだ、だが
これは、ロジャーの望む娘への自由じゃない)」
葛藤する男の横で、Aは上品にナプキンで唇を拭いていた。
食事を終えたのだ。
その様子を見届けてから、ガープはAの頭に手を乗せて呼びかけた。
「さあ…コルボ山へ行こうか、A」
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作者名:ひはる x他1人 | 作成日時:2017年7月28日 18時