9話 ページ12
「ひっく…!ろ、ロジャーに子供ォ…っ?
いるわけねえ!いたら縛り首さ!」
マントの中で刀の鞘をにぎる
沸き起こる衝動を押さえながら時を待つ。
非常に可愛らしい、年相応の笑顔を広げてAはまた話しかけた。
「もしもの話よ、最近ロジャーのことを知ってね?興味があって聞いて回ってるの」
「ぶっは!そうか〜ガキだもんなまだ!
じゃあ教えてやるよ
ロジャーっていうのは史上最悪の海賊さ!今一力がある海賊だって噂されてる
乱暴で、横暴で、短気!」
「子供なんていた暁にゃあそいつは即首が飛ぶね、物理的にだぜ?
生きてる価値がねえんだもんよ!
しかも海軍って!罠にはまりに行ってるようなもんだぜ!」
「海軍にとっちゃ絶好の見世物よ!
そうそう、もしいて、処刑するってんなら公開して欲しいね!
できるだけ無残に、見苦しいように!」
「ばあか、あいつの子供がそうなるんだったらこう言うんだよ
ざまぁみろ!ってな!!」
一際大きな、しわがれた笑い声を彼らは立てた。
途端に、その下劣な笑い声は消えた。
店内は、マスター以外は困惑している
見苦しい姿になった海賊達は、泡を吹いて地面に突っ伏していた。
「ごめんね、痛い?
ほんとは殺したいんだけど、監獄にぶち込まなきゃいけないから…
…あ、また言葉遣いが悪くなっちゃった。」
Aはマントを裏返し、店内の客たちに正義の背を向けた
「みなさんお騒がせしてごめんなさい。
わたしは海軍本部少佐 リラルド!
ときどきこの店で海賊を捕まえさせてもらっています
みなさんの平和はわたしたち海軍にぜひおまかせください!」
可愛らしい姿に客は拍手を送った。
「よっ、流石リラルド少佐!」
「凄いのね、あんな小さな子が…」
毎回も場を借りているマスターに礼をすると、縄で縛った海賊たちを引きずり本部を目指した
凝りもせず言われた言葉を思い出しながら。
ーーー…
「おや、おかえりA
!お、またやってきたな
はは、片手で引きずるな!」
「他の海兵も連れて行けと何度も言っただろう
それじゃあ目立つところの話ではない。
…お手柄だったな」
2人に頭を撫でられたAはにっと笑った
専門の部署に海賊を預けたあと、
丁寧に、丁寧に、手を洗った。
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作者名:ひはる x他1人 | 作成日時:2017年7月28日 18時