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第316話 ページ27

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〈君はシノアと違って欲望が溢れてるね。どちらかというと、姉の方に似たのかな〉

「‥‥‥姉さんに? どこが?」

〈生きることにも、死ぬことにも情熱的なところ〉

「‥‥‥私が、情熱的? はは」

思わず笑う。
「情熱的」、そんな言葉が私に当てはめられるなんて。

〈僕は君に興味があるんだ。
柊の失敗作、そして僕の予想外の存在だから〉

失敗作失敗作と、さっきから何度も繰り返す。
揺さぶりをかけてるつもりなんだろうが、残念。私はそんなことに毛ほども負い目を感じていないし、そもそも興味もない。

しかし「僕の予想外の存在」というのは、少し気になる。
以前のフェリドの「君は京都の山奥で誰にも見つからず死ぬはずだった」という発言と、少なからず繋がった。


────どうして私は、生き残れた?

────なぜグレンは、私が京都の山奥にいると知っていた?


〈君の姉が、クルルと取引をしたからさ〉

「!」

〈‥‥知りたそうな顔。もっと聞きたいのなら、僕に心を────〉

「いらない」

「女王と取引をした」。
それは多分、私を助けることが主な内容ではない。もっと壮大な、想像もできないような内容。

その他の内容として「私を逃がすこと」が入っていただけだろう。


吸血鬼に粗相をしてしまった子供たちを私が庇い。
その吸血鬼を下がらせ、女王が私を地下都市から追放する。
あとは、グレンの中にいる姉が彼に指示すればいいだけ。

女王は多分、ずっとタイミングを図っていたのだろう。そうでなければ、あの時都合よく居合わせるわけがない。


───いや、待て。
四鎌童子は、姉さんが取引をしたことで私が生き残るのを知っていた。ならば、予想外にはならない。

結局疑問は、振り出しに戻った。


〈‥‥‥ほら、やっぱり天才だ。たった一つの事実だけで、そこまで辿り着くなんて〉

「‥‥‥お前、随分と私に干渉してるのね。壁は高いはずだけど」

〈言っただろう? 姉に似てると。君が考えてることなんて壁があってもわかるさ〉



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夏向(プロフ) - 朝陽さん» こちらこそありがとうございます‥‥!!! (2022年10月2日 23時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
朝陽(プロフ) - 続きめっちゃ楽しみにしてました!ありがとうございます! (2022年9月13日 23時) (レス) id: 2c0d85a97f (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - レモンはちみつさん» ありがとうございます!文章を褒めていただけると本当に嬉しくてすぐ調子乗ってしまいます(笑)気長に更新をお待ちいただけるとありがたいです…! (2022年9月13日 23時) (レス) @page49 id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 仁奈さん» ありがとうございます!更新が本当に遅くて申し訳ないです…。気長にお待ちいただけるとありがたいです…! (2022年9月13日 23時) (レス) @page49 id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
レモンはちみつ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!一気読みしてしまいました。ワートリも終わセラも大好きなので嬉しいです!!書き方もすごく上手くて感情移入してしまいました、書き手として尊敬します!これからも頑張ってください!更新楽しみに待ってます! (2022年8月14日 22時) (レス) id: 95afc2042e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏向 | 作成日時:2018年4月2日 10時

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