過去と思惑と愚直と ページ43
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──“あいつに、よく似てる”───
その姿は、死んだあの女を思い起こさせた。
◇
ざく、ざく、と足で踏みつけた雪が音をたてる。
───京都の、山奥。
道なんて呼べない道を進み、ひたすら奥へ足を進める。吐き出した白い息は宙にとけて霧散した。
「‥‥おい、本当にいるのか」
〈いるわ。必ず〉
言われるままにここまで来たが、人っ子一人いないここに、
しばらく歩くと、開けた場所に出た。辺りを見回し、寒さに身震いする。
ふと、小さな洞窟の前に、10歳ほどの子供がへたり込んでいるのが目についた。
家畜の服を着ている少女は、綺麗な灰色の髪にうっすらと雪を積もらせている。よかった、いた、と、安心したように呟く真昼。ということは、あれが目当ての人間なのだろう。
「───おい、ガキ」
すると、瑠璃色の瞳でこちらを見る。子供のくせに、ひどく冷静な目をしていた。
「こんなところで、何してる？」
「‥‥たった今、家を追い出されたところです」
「‥‥家？」
少女は背後の洞窟を振り返る。そこは、京都にある、日本最大級の吸血鬼集落の入口。服からして、そこから出てきた子供だと確信した。
「あなたは？」
「俺は一瀬グレン。所属は日本帝鬼軍」
「‥‥“一瀬”、“グレン”？」
俺を上から下までじろじろと眺めた後に「‥‥姉さんの、元恋人」と呟いた。その言葉に、大きく目を見開く。「‥‥お前は、」
特殊な髪色、年に似合わぬ冷静な雰囲気。すると真昼が、そうよ、と言った。〈あぁ、A、会いたかった〉
「‥‥何を、そんなに驚いているんです？」
真昼によく似た顔立ちの少女は、そう言った後、小さくくしゃみをした。事情を聴くのはとりあえず後回しにして、彼女が風邪を引かないよう上着を肩がけしてやる。
「‥‥優しいんですね。思ってたのと違って安心しました」
「そりゃどういう意味だ？」
「姉さんが好きになったのが横暴な人でなくてよかったという意味です」
そう言う手足の指は真っ赤になってしまっている。裸足の薄着で極寒の環境に放り出されれば仕方がないだろう。幼い頃の真昼の姿を重ね合わせてしまい、いたたまれなくなって彼女を抱え上げると驚いたように声を上げた。
「‥‥ロリコン、もしくは変態ですか？」
「投げ落とすぞ」
「できるものなら」
「‥‥‥」
無理だとわかっていて、彼女はそう言ったのだった。
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じゆんきむ(プロフ) - 返信ありがとうございます。楽しみに待ってます！ (1月11日 21時) (
レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - じゆんきむさん» 返信遅くなりすみません。現在修正中なんですがリアルが忙しくて…。年度内には再公開できればと思っております (1月11日 2時) (レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
じゆんきむ(プロフ) - 7個目の話はいつ公開されますか？？ (12月27日 1時) (レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
雫鶴鳩 - ありがとうございます！！見捨てなんてしませんよ(笑)これからも更新頑張ってください！！ (2017年10月21日 17時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
夏向@テスト期間は低浮上(プロフ) - 雫鶴鳩さん» (続き)読みにくいかと思われますが、今後はそのように解釈していただけると嬉しいです。これからもこの小説を見捨てないでいただけると大変ありがたいです！ (2017年10月21日 10時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年10月10日 16時
