真実は(国見英) ページ44
今日は英と付き合って4年の記念日だった。
私は高校を卒業し、都内に進学した。
地元で進学した英とは4年間の遠距離恋愛をしていた。
長期休みには会っていたし、時間のある時に電話したりはしていたが、記念日を一緒に過ごせることはやはり少なかった。
私は春から地元で就職が決まった。
まだ英にも言っておらず、私はその報告も込みで今日は内緒で逢いに来たのだ。
金田一に協力を要請し、金田一と2人で出かけた帰りに駅で待ち伏せする、という算段だ。
私は金田一から「今国見1人で帰した」という連絡を受け、駅の柱の陰に隠れて待っていた。
電車が来たのか、ぞろぞろと改札から人が出てきた。
その中に英も居た。
私は英を見つけ、柱の陰から出ようとしたが、私より一足先に英の元に行った人が居た。
その人は綺麗な黒髪の女の人で、英と腕を組んで歩き出した。
私はその場に立ち尽くした。
あぁ、私二股されてたんだ。一人で舞い上がってバカみたい。
携帯が震え、私は通知を見た。
【会えたか?】
金田一からの連絡だった。
私は画面に親指を滑らせた。
【英、綺麗な女の人と腕組んでた】
それだけ返し、私は英が向かった方とは逆に歩き出した。
複雑な気持ちを抱えたまま、私は無意識のうちに北川第一中学まで歩いてきてしまっていた。
再び携帯が震え、金田一からのメッセージを読む。
【今どこだよ】
【北一の近く】
私は簡単に返し画面を閉じた。
英と出会った頃を思い出した。
私と英は決して仲が良かったとは言えなかったと思う。
けれど私はずっと彼のことが好きだった。
私は涙を零した。
英には私じゃなくても良かったのだと思い知らされたような気がした。
「A…!」
突然背後から聞き覚えのある声で呼ばれた。
ゆっくりと振り向くと、そこには気を切らした英が居た。
『……どうして…』
「金田一に聞いた。戻ってくるなら連絡しろよ…」
『私、見ちゃった』
目の前まで歩いてきた英は私に目線を合わせ「それも聞いた」と言って、零れた涙を指先で拭った。そんな優しさすら胸が痛む。
「お前が見たのは姉さん。俺、年の離れた姉さんが居るって話さなかったっけ」
『お姉さん…?』
きっと私は今、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていると思う。
「姉さんがお前に会いたがってる。未来の妹になるなら早めに仲良くしておかないとって」
『それって……』
「結婚、してくれるんでしょ」
『……もちろん!』
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まる - 泡姫さん» お時間かかっても全然構いません…!!むしろリクエスト叶えていただけるだけですごく嬉しいです…!続編をお気に入り登録しておきます…!!!!!! (2月18日 15時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - まるさん» わー!リクエストありがとうございます!久しく書いていないため少しお時間頂いてしまうかもしれませんが、私なりに書かせていただきます!!現在こちらの作品は続編の方を更新する形になっておりますので、よろしければそちらをお気に入り登録してお待ちください! (2月18日 12時) (レス) id: 5951de0be4 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作者さんにリクエストが…。銀.島.結.で過去の辛かったことを銀が全部包み込む…みたいなお話を書けたりしますでしょうか…?(語彙力なくてすみません…) (2月18日 11時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジさん - 好きで愛してるわ作者さんじゃなくてさ、作者様じゃね?(は?何言ってやがるオレンジさんや) (2022年7月10日 21時) (レス) @page48 id: 0e3c42be20 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - 愛菜さん» そういう素直で分かりやすいお言葉が1番嬉しかったりします……今後も緩く書いていきますので時々キュンとしに来てください…!(ちなみに現在次話執筆中です…) (2021年11月6日 11時) (レス) id: 8284d2d1b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泡姫 | 作成日時:2021年9月1日 21時