__鶴姫__2【ツルネ】

60射＊変わる ページ14

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矢渡しを終え、最初は女子個人戦が始まる。




やはり乃愛は無理をしている。




いちおう、妹尾とゆうなには終わったら側にいてあげてと言ってある。



私も側に寄りたいけど、あいにく2グループ目なため、控え室にいなければならない。








心配だけど、3人の射が見られないのが残念すぎる。








貴「(乃愛…無理しなきゃいいけど…)」









そういえば海斗…


確かエントリー表で海斗が出る組に…藤原くんがいた。


なんだろう…ちょっと胸騒ぎがする。









それにしても…



海斗、湊のことを仲間って言った。

バカにされたことをあの双子に怒った。





ちょっとずつ、あいつも変わってきている。







私も…変わらなきゃね。



本当の鶴姫に変わりたいんじゃない。
好きでそう名乗っているんじゃないし、名乗った覚えもない。








愁『君が鶴姫…滝川 Aさんなんだね』








私は…風舞高校 弓道部、滝川 Aだ。




鶴姫なんかじゃないよ。








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鳴宮 湊side







妹尾、花沢、白菊の組が終わり、次の組が入場する。






静「次、Aが出る組だね」


湊「ああ」



遼「だ、大丈夫かなA。Aの組に桐先の人いるけど…」




静「大丈夫だよ。なんせAは愁と並ぶくらいの実力があるから」


遼「へえ…Aってそんなにすごいの？俺あんまりAのこと知らないから…」



静「中等部時代、鶴姫って噂が桐先にまで届いて有名だったくらい」


遼「桐先にまで！？」




湊「……」







俺も最初は「鶴姫」ってなんだ？と思ってた。


けど、試合で初めて彼女は…とても魅力的で、美しい射を見せた。






射型だけじゃない。






心が惹かれるような…









静「始まるよ」


遼「がんばれ〜A〜 (小声」









マサさんと同じくらいに綺麗な会。





Aの目はまっすぐ的を見つめていた。


その目と表情は切なくて、儚い。









‘‘カーン”






Aの弦音が鳴り響く。


矢はまっすぐに的に当たる。








湊・静・遼「よしっ！」








遠くで愁をみつけた。





愁はAのことを見つめていた。





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