桜よ歌え、舞え、美しく【ぬらりひょんの孫＊リクオ】 (ページ32)

今日:36 hit、昨日:35 hit、合計:492,246 hit

26夜＊「おまじない」ページ32

・

氷「わぁぁ！！こら！大人しくしなさい！」

「わん！わん！」

庭の方から及川さんとハンナの声が聞こえてきた。

たぶんハンナは庭を走り回っているんだろう。

そろそろ帰ろうかな。

貴『奴良くん、私そろそろ帰るよ』

リ「……」

貴『奴良くん？どうしたの？』

リ「なんでもねぇ。送る。朧車を用意するから待ってろ」

貴「(おぼ、ろ？)」

外に出ると牛車があった。でも簾がかかっている場所に巨大な顔があった。

貴「(こ、これが朧車…奴良くんはいつも載ってるのかな)」

リ「大丈夫か？」

貴『大丈夫、牛車はじめてだから緊張してるだけ』

リ「乗り心地はいいぜ？」

氷「若！護衛は__リ「いらねぇよ」ええ！？」

リ「送るだけだ」

奴良くんは私の手を引いて牛車の中へ入る。

あ、ハンナ。

‘‘ ピィー ”

「わん！」

指笛(片手)でハンナを呼んだ。
ハンナはすぐ来て牛車の中へすぐ乗った。

リ「忠実だな」

貴『そう？』

ハンナが乗ってすぐ牛車は動きだした。

外を見ると空を飛んでいた。

下を見れば奴良くんの家の庭にある垂れ桜がみえた。

貴『今日はありがとう奴良くん』

リ「……リクオだ」

貴「？」

リ「俺のことはリクオって呼べ」

そう言って奴良くんは私の手を掴んだ。

えっと…

貴《リクオ、くん…》

リ「ああ」

な、なんなの…

リ「…また聞いてもいいか？」

貴《どうぞ》

リ「こうやって触れていれば会話が出来んのか？」

貴《うん。触れている人にだけ私の声が聞こえるの。触れていれば袖でも聞こえる。

もう一つあるの》

リ「もう一つ？」

貴《…歌…》

リ「歌？」

貴《歌う時にだけ声が出る。おばあちゃんが私にそう術をかけたの》

リ「Aのばあさんが…」

貴《声が出ないのは私の気持ちの問題だから、声を出せるようには出来ない。でもおばあちゃんは
「せめて歌だけは失くさないでほしい」と言って私に「おまじない」をかけたの》

リ「まじないか」

貴《あとは…私次第》

リ「……A」

貴《？なに？》

リ「辛くねえか？」

貴《辛くないよ》

私はリクオくんに笑って誤魔化した。

リ「そうか……声、戻るといいな」

貴《そう、だね…》

リクオくんはそれ以上聞いてくることはなかった。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

指笛すげえ……