-前章- 狂気の1回目 ページ1
トムリドルは白い大きな邸宅の門の前で姿あらわしをして現れた。
もうすでに結婚式は終わり、披露宴のパーティーの時間でだろうと思いながら、招待された邸宅の中に入るために一歩、一歩足を踏み出すがその足は鉛のように重く感じていた。
トムリドルはどんなときも冷静に物事を正しく捉えられることのできる人だった。なのに、顔にはいっさい出してはいないが感じたことのない心の底から、憎悪、嫌悪、怒りが混じったような言葉にできない不快な感情がどんどん湧き上がっていた。
門を通り抜けると受付の女性スタッフ招待状を渡した。
受付のスタッフはトムの顔を見るなり、頬を赤らめてボーッと見つめた。
今回の主役を引き立てるためのシワひとつないチャコールグレーのスーツに身にまとい、誰もが魅力的に見える恐ろしいほど整った顔をもつトムは欠点なんてどこにもなく、見惚れるのも無理はなかった。
見惚れるのも慣れっこなトムは声をかけて促した。
「すみません、中に通してもらうことはできますか？」
「えぇ、遅れてくる方がいると伺っています」
スタッフは我にかえると、トムを中に案内した。
中にはホグワーツで見たことある顔ぶればかりが揃っていた。トムが入ってきたことに気がついた新婦の友人達が嬉しそうに駆け寄ってきた。
「もうっ！トムったら！幼馴染の結婚式に参加できていないなんて！」
心底残念そうな顔をしながトムは言った。
「すまない…。どうしても、はずせれない用事ができてしまったんだ」
しかし、内心は自分に近づくために新婦と仲良くなった奴らが何を抜かすとフッと鼻で笑っていた。
そのとき、背後から昔から何回も聞き慣れていた声がした。
「リドル！来てくれたのね！」
声をかけられたトムは振り返らなければならない。しかし、頭が"振り返ってはダメだ"とガンガン警告を鳴らしていた。そこら振り返るまでトムはスローモーションのようだった。
振り返ると
穢れのなさを象徴する白いドレスに身にまとったトムの姿を見て心底嬉しそうな顔をしている同じ孤児院出身の新婦-A-とその新郎
トムその2人の姿を見た途端心の中で暴れて狂っていた気持ちの悪い感情が自分の体から溢れ出てきてしまいそうだった。やっとの思いで口から祝いの言葉を告げた。
「Wishing you a lifetime of love and happiness 」
"永遠の愛と幸せをお祈り申し上げます"
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