#236《記録》 ページ46
──とある記録
まず始めにわたしは“喰種”である。
それを踏まえ聞いてほしい。
わたしは絵描きを目指していた。人々に恐れられる“喰種”が、と思うがわたしは絵を描くのが好きだった。
田舎と東京では大きく違った。緑ばかりの田舎とは違く、コンクリートだらけの世界。
当時のわたしはヒトを殺せなかった。タダでさえヒトが多くいつ見られているのかも分からず、他の“喰種”が殺しに来ないかと毎日ヒヤヒヤしていた。
既に息絶えている人を探しながら絵を描く、変わり映えしない日々を過ごしていた。それを壊したのがとある“喰種”である。
ヒトにも“喰種”にも嫌われていた“野狐”。
彼はわたしに食料をくれた。それがわたしが「
彼は周りを引っ掻き回す天才だった。己も参加し、飽きたら捨てる。
私の他に二人の“喰種”を引き連れていた。
彼らは“野狐”の“盾”と言っていた。わたしには“盾”になる勇気はなかった。元々戦うのは苦手で出来れば話し合いで解決したいと思っていた。
飽きやすい“野狐”が彼らを手放さなかったのは“盾”にする為だった。
私は“野狐”の興味として傍に置かれた。不思議と居心地は悪くなかった。
彼は・・・“野狐”は寂しがりだった。一人で産まれて、一人で死ぬのに彼は独りを嫌がった。
絵描きとして有名になれたのは、彼のおかげ。彼を見るだけで、アイデアが湧いた。わたしのヒット作、「狐と亡骸」は彼と過ごして思い付いた作品。
彼は不思議な“喰種”で、何を考えているのか分からなかった。それは彼が死んでも、分からずに終わってしまった。
彼は何を目指していたのか、結局誰も知らずに皆死んでしまった。彼は寂しがり屋だから、多くのヒトや“喰種”を巻き込んで地獄に行ってしまった。
・・・・・・もう、話す事はありません。
45人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水無月(プロフ) - 乾さん» 今更になってしまいますがありがとうございます!一時期題名が落ち着かない時がありましたが最後まで読んでいただきありがとうございました!! (2018年8月10日 23時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
乾 - 完結おめでとうございます!!この作品は、名前が何度か変わっていましたがそんな連載当時から好きでした。素敵な作品をありがとうございました (2018年7月2日 18時) (レス) id: de2fb18392 (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 瑠伊さん» ありがとうございます!素敵と言ってもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 慶さん» ありがとうございます!面白いと感じてもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 宮野 ミヤさん» ありがとうございます!気に入ってもらえとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水無月 | 作成日時:2017年12月27日 18時