冒険の傷痕:13 ページ15
「──二人とも、ありがとう。面倒見てもらって」
「ううん。Aが元気になって良かったよ、ね?カミュ」
「ん?あぁ、そうだな」
結局、丸一日を掛けて二人に面倒を見てもらってしまった。回復魔法掛けてくれただけで十分だったのに、と呟くと、ボクらが心配だったからいいの、と微笑まれる。
忘れかけてたけど、この人勇者様なんだよなぁ…世界を救う勇者様だぞ?…こんなにほんわかしてて優しすぎるもの…??
「じゃあ、今日こそデルカダール神殿に行こうか」
へにゃり、とイレブンは笑う。
「…カミュ、イレブンって勇者様だよね?」
「イメージと違うってか?それについては大いに同感だぜ」
「どうしたの二人とも、置いてくよ?」
「へいへい、まぁ待てって」
出掛ける準備を終え、教会のシスターにお礼を言い、デルカダール神殿へ続く道を辿る。
「そう言えば、なんでデルカダール神殿に行くの?あそこって確かデルカダールの精鋭兵が監視してる所じゃなかったっけ」
「よく知ってるね、あそこにはカミュの忘れ物…レッドオーブがあるらしいんだ」
「レッドオーブか、…そこはちゃんと盗賊なんだね、カミュ」
「おいおい、確かにレッドオーブはお宝だが、それだけの目的で行くんじゃねぇよ」
その目的は秘密だけどな、とカミュは口元に人差し指を立てた。
…ん?待てよ、確かデルカダール神殿へ行くには、入ったら二度と抜けられないジャングル、と名高いナプガーナ密林を抜けなければならない。
杞憂で済めばいいが、生粋の、究極の方向音痴の為に"いつの間にか"迷子になる例も過去には少なくないから、正直不安でしかない。
「…大丈夫かなぁ…」
否、大丈夫ではないのだ。
「…はぐれないようにしないとなぁ」
「どうしたA、行くぞ?」
「あ、うん」
迷子にならないように、集中しなくちゃ。
63人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千織(プロフ) - チロル/CHIROLさん» チロルさん、初めまして!有難いコメント、とても嬉しいです…!これからも精進していくので、見守って頂けたらと思います! (2018年11月3日 7時) (レス) id: 43a89afe6e (このIDを非表示/違反報告)
チロル/CHIROL - はじめまして!ドラクエファンなので、ドラクエの夢小説を書く人がいるのか!と驚き拝見させていただきました!掴みにくい世界感を表現されていて千織さんはすごいと思いました!これからもがんばってください! (2018年11月2日 22時) (レス) id: f7aec74604 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:千織 | 作成日時:2018年10月29日 20時