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「まるで神の口ね。」

「お前も言うのかよ!!」

「あはは、だよね。」



神の口。

それはかつて平蔵がパイモンに向かって放った言葉。

同じ言葉をAもパイモンに向けて言ったのだった。



「まあ、良いじゃない。よく喋る子は好きだよ。とっても話上手なのね。」

「うう、何だか調子が狂うぞ…。」



パイモンは褒められているのか貶されているのか分からなくなり、頭を抱えた。



「それにしても、菓子折りは持ってこなくても大丈夫って言ってるのに、どうして毎回持ってくるの?」

「僕なりの気遣いだよ。」

「別に私は気にしてないんだけどな。」



はあ、と溜息を吐くA。

対して平蔵は頬杖をつきながら笑っていた。



「気遣いって…平蔵はAに何かしたのか?」

「直接的にじゃないけどね。」



困ったように平蔵は眉を下げる。

旅人は含みのある言い方に首を傾げた。



「…まあ、今は美味しい饅頭でも食べよう。ほらほら、折角の温かい饅頭が冷えちゃう。」

「おっと、そうだったね。」

「お、オイラ達も食べていいのか…!?」

「勿論よ。貴方達が持ってきたんだから、遠慮しないで。」

「ありがとう。」



嬉しそうに饅頭を頬張るパイモンを見て、旅人は頬を綻ばせた。

平蔵も饅頭を一つ簡単に平らげてしまうと、饅頭を頬張るAに向き直る。



「そう言えば、ここら辺に最近宝盗団が出るらしいんだけど、知ってる?」

「いいえ、微塵も。」



Aは平蔵に見向きもせず、淡々と答えた。

これには平蔵も肩を竦めてしまう。



「そっか……じゃあ、帰る時は気をつけてね。やっぱり、不安だから。」

「当たり前でしょ。」

「約束だからね!?寄り道しないで帰ってね…むぐ。」



鬱陶しかったのか、Aは無理やり饅頭を平蔵の口の中に押し込む。

平蔵は饅頭を咥えたまま固まってしまった。



「私、もう子供じゃないから。というか、平蔵こそ気をつけなよ。まだ、小さな子供なんだから。」

「…Aって何歳なんだ?」

「あら、パイモンちゃん。女性に歳を聞くなんて野暮なんじゃない?」

「ええ!?と、特に深い意味は無くてだな!!」



慌てふためくパイモンにAは軽く吹き出す。



「冗談よ。まあ、お酒が飲める歳って事だけは教えておいてあげる。」



そう言うと、Aは椅子から立ち上がり余った饅頭には目もくれず「じゃあね。」と一言残して帰って行った。



「これって、俗に言うあーんってやつ?」

「は?」

参→←壱



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設定タグ:原神 , 鹿野院平蔵   
作品ジャンル:恋愛
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椎名 - お帰りなさい!!日本人じゃない。。。。だと!?すごいですね!!がんばってください! (2023年1月27日 17時) (レス) @page6 id: 6cf39c0222 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽*(プロフ) - ぼんぼんばくだんさん» はい、実は日本人じゃないんです(笑)。まだまだ勉強中ですので、拙い文章ですが見守って頂けると嬉しいです。何卒よろしくお願い致します。 (2023年1月23日 18時) (レス) id: d8f65976a6 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽*(プロフ) - 塩で味付けさん» お待たせしすぎてしまい申し訳ございません。応援ありがとうございます。頑張らせていただきますので、今後とも宜しくお願い致します。 (2023年1月23日 18時) (レス) id: d8f65976a6 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽*(プロフ) - 甘風さん» ご心配ありがとうございます。この度、無事復活をとげました…?日本語はまだまだ勉強中ですが、そう言って頂けて嬉しいです。今後とも宜しくお願い致します。 (2023年1月23日 18時) (レス) id: d8f65976a6 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽*(プロフ) - 名無し3680号さん» ご心配痛み入ります。この度はご迷惑をお掛けして申し訳ありません。上手と言って頂けてとても嬉しいです。今後とも宜しくお願い致します。 (2023年1月23日 18時) (レス) id: d8f65976a6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鳥羽* | 作成日時:2022年7月19日 0時

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