第十二話 意外な一面 ページ6
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「おい、飯だけだと言っておったではないか」
『は〜？そんなこと言いましたっけ？』
柔らかなお肉をワインで流し込む
これ以上の幸せはない、私の脳はセロトニンを分泌しまくっている
向かい側に座るのは焦った様子の鯉登少尉
「明日は任務当日だぞ、飲みすぎるな！」
と、口元に手をやりコソコソ話しかけてくる
『あのねぇ、言っておくけどそんなに飲んでませんよ！』
この洋食店は雰囲気がとても良いし、出てくるものは何でも美味しい
第七師団に潜入する前は私の行き着けだった場所だ
「…なかなか美味いな」
あんたも飲むんかい！
散々人に注意してきたくせに私が注文した赤ワインを飲み始めた鯉登少尉
気に入ったのか少し顔を綻ばせている
意外と飲める口なのね、ちょっとは心を許してあげなくもない…
「そういえば貴様は肌が白いな」
いい感じに酔いも周り会話も弾んできた頃、思い出したように少尉が言った
『あー…』
肌ね…
色白なのは生まれつきだけど、軍人としてはあまり良くないのかな？
少尉も肌が黒くて男らしく見えるし
男のくせに白くて情けない！って怒られたりして〜…
「私の兄も色白じゃった」
返ってきた声は、弱々しくてなんだか拍子抜けした
それに瞳も、何処か遠い場所を見ているようで不安になる
なんだか少し酔いが覚めた気もする
これは…聞いていいのだろうか
『そうなんですか、お兄様がいるんですね』
少尉は俯く
片手ではグラスを揺らしていて、中身がクルクルと回っている
「…いや、もういない」
やっぱり…
少尉の言葉が過去形だからもしかして…と思ったがやはりそうだった
きっともうこの世にはいないのだろう
こういう時はなんて声をかけていいのか分からない
空気が重くなった気がする
『…どのような方だったのですか？』
「母上に似て色白で…
どんなに揶揄っても怒らんぐらい本当に優しくてな…」
おいは全く似ちょらん
そう小さく響いた言葉はどこの方言だろうか
ふと、尾形を思い出す
尾形も腹違いの弟と自分を比べていた気がする
まあ殺してしまったぐらいだからかなり拗らせてるけど…
少尉はきっと兄を心の底から愛しているんだろう
その気持ちは私にもよく分かる
「自分は兄のようにはなれない、代わりではないと理解できたはずなのに…今でも偶に思う」
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禀(プロフ) - 今読んだけど、超神作。更新頑張ってください！！ (2月19日 6時) (
レス) id: 71390a603d (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - まさかの更新停止;_; (2022年7月7日 15時) (レス) @page9 id: 2b6b2b0610 (このIDを非表示/違反報告)
迷彩ミント(プロフ) - 鯉登少尉めっちゃ可愛いです！更新頑張ってください！ (2021年12月23日 0時) (レス) @page9 id: db841188ef (このIDを非表示/違反報告)
推し尊い(プロフ) - 鯉登ちゃん可愛いぃっっ (2021年11月7日 16時) (レス) @page9 id: 83b850b061 (このIDを非表示/違反報告)
篠宮輝夜(プロフ) - とても面白いです!!鯉登さんの突っかかり方がツボに入ってしまって…更新頑張ってください! (2021年9月24日 20時) (レス) id: 2fc8f791c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芝 | 作成日時：2021年9月13日 3時
