第二話 猫目の男 ページ7
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『ぐ、ぐぅ…さむ、さむい…』
圧倒的！！！寒さ！！！
船を降り、列車に揺られ約16時間
旭川の地に初めて降り立った私の脳内を占める言葉は
“死ぬほど寒い”
ただそれだけだ
厚手のコートを着てきたというのになんだこの有様は
冬の北海道…なめてたっっっ…！！
身体がガチガチ震える
少し先にある第七師団本部へ向かうのに全然足が進まない
縮こまりながら通りを歩いていると、突然視界の端に現れた紺色に
心臓がドキリと嫌な音を立てた
一瞬で脳内を駆け巡る最悪の事態
だ、誰！？同じ隊の人？
それよりも…ま、まさかもう追いつかれた…？
「これはこれは、北里准尉殿！
久しくぶりでございますねえ」
パニックになってる私の顔を
ヒョイッと覗き込んだ男
『うわっ！？』
驚いて歩みを止めれば、男も止まった
「北里准尉？」
『あっ』
あああああたいだ！北里准尉あたいだわ！！！
そう、私は北里A…今は北里寧一郎だけど…
『ひ、久しくぶりだね、えーっと…』
誰だコイツ！？
寧一郎から隊の人の話はよく聞いたし、特徴もなんとなく分かるし軍隊の常識とか色々予習してきたんだけど…
これ部下？同期？
あ、そうだ
制服によって階級が分かるはず…ってコート着てて分かんないよ〜…詰んだ…
猫目の男はじっとこちらを見据えてる
全てを見抜かれているようで居心地が悪い
猫目…あっ…
寧一郎が言っていた、射撃の名手がいる
そいつは影で山猫と呼ばれていたって……
もしかしてこの人…
『山猫！？』
「…」
やっちまった………
しん…と旭川の街が静まり返る
目の前の男から感じる、「何言ってんだコイツ」オーラが痛い、突き刺さって痛い
寒いのに、額からは汗が吹き出してきた
『あ、あれ？違った…』
はは、と乾いた笑いが凍てつく北風に拐われる
「しばらく会わないうちに忘れてしまいましたか…？この…尾形百之助を」
猫目の男は、ぐっと距離を縮めると私の顔の目の前で首を傾げた
なんなんだこの男…
寒さとは違うそれが、背中をゾクリと走る
この男には関わってはいけない
そんな気がした
「なーんて…北里准尉殿はご実家の方で頭部を負傷したと噂で聞いています、多少の記憶障害もあるでしょう…」
猫目の男、尾形がパッと離れる
「ご無礼をお許しください」
『あ、あぁ…別に構わない…』
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芝(プロフ) - 鮭マヨさん» コメントありがとうございます。とても励みになります…(;_;)これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2021年9月13日 1時) (
レス) id: ac408ee6ee (このIDを非表示/違反報告)
鮭マヨ - この作品ほど更新が終わってほしく無いと思ったの初めてです…更新めっちゃ楽しみにしてます…！ (2021年9月11日 8時) (レス) id: 9536630108 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芝 | 作成日時：2021年8月31日 2時
