復讐 ページ18
「復讐屋?」
「そう。詐欺師って言われることもあるかな」
「詐欺師!?」
「簡単に説明するとね、依頼されたらその相手に復讐するのよ」
「…ヒロさんは、違いますよね?」
私がヒロを見ると、彼は決まりが悪そうに目を逸らした。
「…。私は、やりません」
私は拳をぎゅっと握りしめた。
「詐欺とか復讐とか…やり方次第では犯罪ですよね!そんな…犯罪…。それに…復讐なんてしたって____」
『だから、鈴木さんは君の命の恩人だ』
『違う!』
『違う!そいつを引きずりおろせ!』
『ざまあみろ!』
「虚しいだけです」
私は涙を拭い、声を絞り出した。
「私…部屋に戻りますね…。おやすみなさい…」
私はベッドに倒れ込んだ。
復讐…考えたことはあった。でも実践は出来なかった。自らの手を犯罪で染めてしまうことが怖かったのだ。それがバレて刑務所に入れられたら…。
そんなとき、近くで声が聞こえた。
「いいじゃん、しなよ。復讐」
「誰!?」
部屋の隅に、男の子が立っていた。見た感じ私と歳が変わらなさそうだ。全身真っ黒の服。
「僕はアベル。君の…守護霊的なやつかな?だから君以外の人間には見えないからね」
「は、はあ…」
「ね、なんで復讐しないの?」
「復讐なんか…虚しいだけだよ。復讐したって家族は帰ってこない。だったら…私がちゃんと生きて」
「…つまらない。ちゃんと生きるだって?施設でも学校でも必要とされなくて、こんな所に逃げてきたのは誰だ」
「それは…」
そうだ、彼の言う通りだった。ちゃんと生きるも何も、ここに私は逃げてきた。警察のとこに行ったらまた施設に入れられる。また勉強して…
気が狂いそうだ。
「それに…考えてみなよ。家族を殺したあいつ、生徒の夢を潰した先生、いじめた同級生」
そうだ、あの担任のせいで同級生にまで無視された。
「君がこんな辛い目にあってるのに、やつらはのうのうと暮らしている。悔しいと思わないかい?世の中は不条理だって」
「ええ…思うわ」
「あの担任のスライドは?面白かっただろ?あいつの絶望した顔」
「面白かったわ」
彼は私の耳元で囁いた。
「復讐は犯罪じゃない
苦しんでいる人たちを救う為の手段だ
何を迷っている?
君はひとりじゃない、仲間がいるじゃないか」
「…みんなに伝えに行ってくるね
復讐、考えてみるって」
そう言って彼女は部屋を出ていった
ああ、伝え忘れた。僕の本当の名前。
それは____
【アルシエル】
黒い太陽を象徴する暗黒の神
4人がお気に入り
「アニメ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:唯那 | 作成日時:2017年3月9日 21時