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私は、路地裏で一人、うずくまっていた。

「どうしよっかな…」

どこにも帰る場所はない。頼れる人もいない。

腹の虫が鳴く。

「お腹、すいたなぁ…。このまま私、死ぬのかな?まあ、それもそれでいっか…」

と呟いたそのとき。手が差し伸べられた。

「アナタ、一人なの?なら、アタシと一緒に来ない?」

目の前には、知らない男。

「お腹空いてるんでしょ?大丈夫よ、襲ったりしないから」

私が小さくうなずくと、彼は私の手を引いた。

「さぁ、行きましょ?」

久しぶりに感じる手の温もり。


『おいみんなー!隣ちゃんといるかー?』
『『はーい』』
『福居は?隣いるか?』
『いいえ先生。元から隣はいません』
『そっか。じゃあ、出発するぞー』

<元から隣はいない>

その言葉が、胸を締め付けたのを覚えてる。


「あ…ちょっと…」
「ん?どうかしたの?」
「傘…」

彼は私の方に傘を傾けているので、肩が雨に濡れている。

彼は、私の言葉が聞こえなかったのか、

「もうすぐ着くわ」

と言った。

騙す→←感謝〜



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作者名:唯那 | 作成日時:2017年3月9日 21時

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