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何でも筆舌に尽くし難いという私は、こればかりには筆舌に尽くし難く、筆舌に尽くし難いからここで述べることもできないのだが、極めて美しいと思える杖であった。
光に当たると綺麗な深緑の色を見せ、丁寧に施された杖に彫られた模様が高尚さや高潔さを放っていた。
その杖とオリバンダーさんの顔を数回見ると、催促するように彼は私に杖を差し出した。そうして、私はその杖を手に取った。
『っ────』
途端に、私はその杖が触手を出して私の右手に絡みついたような感覚に陥った。そしてその触手が自分の中に深く浸透しているような気さえする。
じわじわと手元が光り続け、どくどくと絶え間なく湧き上がる暖かな血潮のように、昂りを感じた。
部屋中がひしめき、轟々と風を巻き起こして杖の箱が今にも吹き飛びそうな感覚があった。
そうして自分の中にコトンと何かが落ちる感覚を感じながら、何度も杖を触った。しばらくしてざわめきはなくなり、荘厳とした店へと戻っていく。
妙だった。自分が杖を手にしたのはいいけれど、今起こったことは、明らかに青天白日のごとく、
オリバンダーさんは、目の前で起こった光景を自分の中で咀嚼して、また私の顔を覗き込む。
オ「何か変な感じがありやしませんでしたか?」
『変って』と私は呟いた。
変な感じと言われても、この世界の何もかもが私にとって変な感じなのだから、そんなことを言われてもどれが変なのか、とんと見当もつかない。
一連の流れを見ていたハリーは、何が起きているのかとハグリッドに尋ね、ハグリッドもハグリッドで、困ったように頭を抱えていた。
『変、変?変な感じなら、確かにありました。こう……なんて言えばいいんだろう、何だか私の中に入ってくるような……』
オ「そう、それです!正しくそれを聞きたかったのです」
「それにしても……」とオリバンダーさんは、漠然とした不安を私たちの前に露見させた。
私は不安になってハグリッドの顔を仰ぎみた後に、ハリーの方を見た。その時彼は「心配ないよ」とでも言うように、ハグリッドの方へと数回目を示した。
ハグ「魔力が強すぎるとはな……」
オ「ええ、ええそうです。でも、この杖を使うことに関しては、何ら問題は無いのです───この杖はあなたを選んだのですから」
杖が選んでくれたのは、嬉しいけれど、明らかにそれだけでは無い顔をしているじゃないかと、不意に口走りそうになった。
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白眉(プロフ) - いさん» そう言ってもらえると嬉しいです! 最新話で待ってます! (2022年5月11日 19時) (レス) id: 1c6ab8c3e1 (このIDを非表示/違反報告)
い - コメ失礼します…作者さん文才ありすぎでは…????凄くなんかあの、とにかく文の構成とか語彙の使い方がすごく好きです!!頑張ってください応援してます!!続き読んできます!!! (2022年5月9日 14時) (レス) @page5 id: 195510f68a (このIDを非表示/違反報告)
白眉(プロフ) - ベルモットさん» ありがとうございます!挫折しないように心を強く持って制作に試みたいと思います! (2022年3月2日 9時) (レス) id: 1c6ab8c3e1 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 初コメです。おにきり食べたいさんから、紹介されてお邪魔しに来ました。私も個人的にハリポタの夢小説を投稿している身なので、ハリポタのシリーズは長くて途中で、挫折してしまうこともあると、思います。余計なお世話かもしれませんが、陰ながら応援しています。 (2022年2月28日 14時) (レス) id: df12d0aab7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:T | 作成日時:2022年2月4日 23時