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「おぉ、これはこれは。写真で見る以上のべっぴんさんですな」
席に着くなり、前に座っていたおじさんに声を掛けられる。
すると母は
「そんなことありませんよ、西園寺さん。
それより司さんは本当に娘で宜しいのですか?」
ニコニコの気味悪い笑顔で
おじさんの隣に座っていた人にそう言った。
ちらりとその人の方を見ると
「僕はAさんが良いんです。
…Aさんも、僕で良かったですか?」
『…え』
司という西園寺家の跡取りは
思っていたよりずっとカッコよくてイケメンだった。
僕で良かったかなんて駄目に決まってるだろうと思いつつ
なんと言っていいのかわからず止まっていると
「すみません、司さん。この子人見知りが酷くてね〜!
あっ、A、良かったら司さんと中庭でお話でもしてきたら?
私達は西園寺さんと挙式の予定を立てるから。ね?」
そう言いながら私の足を踏んできた。
『…挙式?!聞いてな「さぁ!!早く!!司さんも!!」
私は母に司さんと2人で部屋を押し出された。
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…暑い。
なんせ7月。なんで中庭で話さねばならんのだ。
そっと中庭にある日陰のベンチに2人で座る。
「…あの、Aさん」
『…はい?』
「いや、なんだか何か悩んでらしたので…」
『すっ、すみません。まだ動揺していて』
「…そうですよね。すみません。」
しーーーん…と沈黙が流れる。
「僕の我儘でこんなことになってしまって申し訳ないです」
『…いえ』
…あぁそうだよ、お前のせいだよ。
というのが本心。
だけどいつかきっとこうなる時期が来るのは何となくわかっていた。
「僕、きっとAさんを幸せにしますね」
『…はは、』
愛想笑いをするしかなかった
高身長でイケメンで金持ちの男なんて
普通の人から見ると最強なんだろう
でも私が好きなのは
身長はあまり高くはないけど
めちゃくちゃかっこよくて
優しくて面白くて語彙がおにぎりの具しかなくて。
…それに、初対面の相手にそんなことよく言えちゃうよな。
なんて、皮肉しか思いつかない。
自分はつくづく失礼で最低な野郎だと実感する。
私は棘くんと幸せになりたかった。
…でもこの気持ちは抑えなければならない。
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麗葉 - 司さんめっちゃいい人!!そして棘くん相変わらず最高です!ありがとうございました! (6月24日 0時) (レス) @page37 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
りんごうまい - これ見てたらぼろぼろ涙が出てきました、大好きです!! (2022年1月23日 22時) (レス) @page37 id: ef60100ca2 (このIDを非表示/違反報告)
ネイジェ - 物凄く素敵な物語を作ってくれて、ありがとうございました!もう感動しすぎて涙が止まんなくて・・・最高です!ありがとうございます!!! (2022年1月18日 22時) (レス) @page37 id: 09b28cb614 (このIDを非表示/違反報告)
魔灯 - 乙骨君出てきたとき「ふぇっ!乙骨k」って舌かんだ(笑) あっすっごく感動?しました! (2021年8月29日 17時) (レス) id: 43f1bbcd44 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン食べた〜〜い(プロフ) - 作品読ませていただきました!とても素敵な作品に出会えて幸せです!ありがとうございました! (2021年4月10日 22時) (レス) id: 94938cd882 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:檸檬 | 作成日時:2021年2月14日 19時