何とも平穏で平凡で幸せで。 ページ12
『やあ、ど派手くん』
黒いパーカーが羽織られた容姿のソレは言う。宇髄はソレの姿を見て微笑む。
「いや遅すぎだろっ!!テメェどんだけ遅れてんだよ!!!」
『3時間』←
「殺す。よし、ころーす。
つーか、てめぇ絶対俺のこと嫌いだろ!!3時間も相手を待たせるとか悪意しかねえだろ!!(正論)」
『まあ、それはおいといて』←
「いや、おくなよ」
『まあでもこの遊園地の開店時間今からだから丁度いいような』
「え、まじかよ。あ、」
開店時間見間違えたぁー!!!と叫ぶ宇髄を無視してソレは歩き出す。じゃあそろそろ行きましょうか、と一言添えて。
「あー、でもあれだな。ほら、この遊園地ってすげぇ混むんだぞ」
『新しく出来たばかりだからね』
「だから、その、迷子にならねーようにというか、手を、って、あああ!!なんで俺が乙女みたいな反応してんだよ!逆だろ逆!!!」
『いやぁ、一文でここまで喜怒哀楽している人初めてみたよ』
笑うソレに宇髄は苛ついたのか、ひったくるようにソレの手を掴んだ。
「まあ、俺は迷子にならねぇけどお前は迷子になりそうだからな。仕方なーく手を繋いでやる」←先週迷子になった人
なるべく意地悪にそう言うと宇髄は勝ち誇った顔でソレの反応を見る。だがソレの表情は変わらない。
『なるほど、なら遊園地の地形全て頭にはいっているけど案内は必要なさそうだね』
にやりと意地悪くソレは宇髄を見上げる。う、と宇髄はまた負けたと眉を寄せた。そもそも何の勝負してるかすら不明だが。
「今世でも敵わねぇな…」
苦笑すると、油断していた手が一気に揺さぶられソレと結ばれていた手が離される。は、と思った瞬間、ソレは宇髄から少し遠くにいた。
『私を捕まえてみてよ、ど派手くん』
振り向かれたその笑う顔が美しく、愛おしい。上等だ、とにやりと笑いソレの元に駆ける。
前世では忍の家庭に生まれ殺し汚れた手でソレに触れるのが怖かったが今はもう躊躇うことなく触れられるのが堪らなく嬉しい。取り付く壁などない。
明日は何をしようか、なんて平凡で幸せに満ちたことだけを考えられる。それがどんなに幸せなことか。
鬼を殺すことも殺されることもなく、ただ平和に愛しい者といられることがどれ程幸せか。宇髄の口から綻びが漏れる。
「愛してる、A」
血の匂いがする。そんな時にも関わらず、何とも平凡で偏屈で満ち溢れた、けして有り得ない空虚な妄想を、夢を、抱いていた。
その名を呼び合う。夢のような時間。→←溢れ出すほどに増えてしまった思い出。
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ひいらぎ・いろ - 小冬さん» ありがとうございます、いつも小説を書く度に面白いか凄い不安になって、、そう言ってもらえて凄く凄く励まされます!これからも頑張ります! (2021年5月2日 7時) (レス) id: 3d1bfbcbe7 (このIDを非表示/違反報告)
小冬 - とっっても、面白かったです!!もう、夢主の反応とかがめっちゃ面白くていつも思い出して笑っています!!これからも頑張って下さい!! (2021年5月1日 23時) (レス) id: b394ae1541 (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ・いろ - S_t0606さん» コメントがきたことにはしゃぐ人間はこの世にはいます。(ありがとうございます!)なるほど、、確かに夢主よく宇髄さんといますから、、もしかしたら、、? (2020年11月29日 20時) (レス) id: 79b860e9e4 (このIDを非表示/違反報告)
S_t0606(プロフ) - 宇髄さん宇髄さん宇髄天元様で落ちお願いします (2020年11月29日 17時) (レス) id: 3664f0360e (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ・いろ - 氷華さん» まさか続編にいけるとは、、(←亀更新人間)こちらこそ、よろしくお願いします! (2020年11月14日 21時) (レス) id: 79b860e9e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひいらぎ・いろ x他1人 | 作成日時:2020年11月13日 0時