【銀魂】 吉原の遊女と鬼の話。

否定 ページ41

宮野の持つ銃が弾き飛ばされて。




からりと刀が地面に落ちて。






必死に首を回した先、刀の飛んだ方向。




わき腹から血を流してなお立ちあがる









「ひじ・・・・・・か・・・・よかっ・・・・」








・・・・わっちの思い人。

なぜだか笑いがこぼれた。


生きていた。

ただそれだけで、




わっちは一瞬痛みを忘れた。






｢ふざけ・・・てんじゃねェ。

道具？おもちゃ？



んなもんがどこにあるってんだ。」









一言話すたびに血が流れる。



もう、逃げてくれ。



・・・そんな言葉は声にならなくて。









｢目ん玉かっぴろげてよく見ろ。




ここにいるのは薄汚ェくそジジイと



俺と、






きれいな女だけじゃねーか。」







きれいな女。



・・・ぬしを殺せと命じられた、遊女が。









｢死にぞこないが・・・・」






宮野の顔から笑顔が消えた。



懐から取り出すは短刀。









土方は刀へと走って。




点々と飛ぶ血の跡。







わっちの心臓を貫くよう振り下ろされた短刀。









土方の刀とぶつかる不協和音。









わっちは力の入らぬままに
土方に抱きかかえられて。









ただただ、体温を感じてた。





朧に見える横顔。


血に染まっても消えぬ強い意志。









丸腰になり、怯えを浮かべながら後ずさる宮野に

土方は容赦なく刀を向ける。









｢もう二度と、こいつを道具なんて呼ぶんじゃねェ。」









抱き寄せる腕に少し、力がこもって。









【もう二度と】









｢・・・・・・大事な女を、道具なんて呼ばせねェ。」









わっちの瞳から流れた涙が、




血と混じって消えた。

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