【銀魂】 吉原の遊女と鬼の話。

蟻と砂糖 ページ4

花の飾りを結った髪にさして

唇に細く紅を引く。


紫の着物を身にまとい、
その上から若草色の着物を着る。


いつもの安い着物ではなく、上物の生地。


今日は江戸でかなりの身分の客が来るそうだ。


わっちには関わりのないこと。


どうせ、そんな上客は


わっちなどにはまわってはこぬ。


きっと日輪姉様が、
お相手するにきまっておる。


ただ、恰好をつけるためにも
遊女も着飾らねばならぬのだ。



何の気なしにしゃなりと下駄をならし
店の外に出た。



騒がしくなってきた道に、仰々しい行列。


・・・・幕府の紋。


籠の中の人物は、厳重に守られて
まっすぐ道を進んでいった。


周りを固める人たちは真選組。


籠の中の人は、
そんなにえらい人なのじゃろうか。


予想通り、日輪姉様のもとへ入っていく籠。


わっちのような遊女は、
籠の中の人物をあきらめ
そろって真選組の隊士たちを誘惑し始める。


必死に男どもに群がる遊女たちは

媚びて、腕をとって、
からだをすりよせて・・・

すこしでも、おこぼれにあずかろうとしている。


わっちも、本来ならそうすべきなのだ。

いまをときめく真選組。


成り上がり集団だが、警察庁長官のお気に入りで

金まわりも大層いいと聞く。


のどから手が出るほどに、ほしい客。


でも、そうしなかったのはこの光景がまるで砂糖に群がる蟻のようだったから。


気持ちの悪い、汚い姿。


色とりどりの着物がなぜか、
ひどく黒ずんで見えた。

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